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窓辺で本を

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これまで読んだ素敵な本たちをふむもく視点でご紹介します。
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#小説

162 夏におすすめの小説6選

日に日に暑さが増してきました。 梅雨が明けたら、明るい夏が待っています。 今年の夏はどのように過ごしますか。太陽を思いっきり浴びて、汗をかくのも夏らしい過ごし方ですが、涼しい室内で本の世界に入るのも良いものです。 本は旅です。空間も時間も超えて、他の人のフィルターを通した別の景色を見にいくことができます。自分一人だけでは体験し得ない人生を知ることは、心潤う時間です。 今回は、夏の読書におすすめの小説を六冊ご紹介します。 作中の季節が夏だから選んだものもありますし、季節に

076 窓辺で本を-『ことり』

私は今、とあるホテルの一室でこの文章を書いています。 普段、人工的な高いところはあまり得意ではなくて、タワーマンションも高層ビルもタワー類にも興味が持てなかったのですが、あることから視点を変える必要性を感じて高層階の部屋を予約しました。 なるべく窓の大きい(でも壁全てがガラスになっているものではなくて、ちゃんと窓らしい窓がついている)部屋で変わりゆく景色を感じながら、高層階の静けさは特別だと思いました。 これまで実家でも今暮らしているマンションでも音が全くない、という状態

008 窓辺で本を  -マザリング・サンデー

明るい時間が長く続く季節だけど、陽が暮れはじめたらあっという間に夜になります。 目の前に広がる景色が赤くてまぶしい。暑くて、でもきれい。 束の間の夕方。 今日はどんな一日でしたか。 暮らしているといろいろなことがあって、同じような日でも気温や風の香りは違っていて、同じ人間でも考えることは変わります。だから毎日が大切なのですが、中でもうんと大切で特別な日があります。 今回の記事の主役『マザリング・サンデー』は、とある女性の特別な一日を描いた小説です。2016年に発表された