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読書note

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2014年9月の記事一覧

子どもたちは夜と遊ぶ(上・下)/辻村深月

ミステリーは先を急いでしまう。こんな長編はとくに。

いやあ長かった。目的のない殺人はしんどいな。終わらせたくて、あえて読み流してしまった。ミステリー大好き人間ではないので、二重人格だなんて全然思わなかったし、それがミステリーの常套手段だということも知らなかったけど、それって明らかにずるいし単純にオチとして物足りなさを感じると思いませんかっ(突然の語りかけ)。構成とか世界観とか好きだっただけに残念

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小夜しぐれ/高田郁

みをつくし料理帖シリーズ第5弾。種市の過去と美緒の縁談がせつなすぎてだな。佐兵衛もちら見だし、最後の小松原の話でほんわかさせてもらわなければ、つらすぎたな。小松原目線で語られることでスピンオフ感というかお甘感が増して、おあとがよろしかったです。あと、こんな季節に読んだから、菜の花の苦みが恋しい。それにしても、あんなに贅沢品だったのか。

今朝の春/高田郁

みをつくし料理帖シリーズ第4弾。ここまで読んで確信しました、私りうさんが好き!(いきなりなんだそりゃ)芳とは違う角度から澪を諭してくれる、その湿度の低さが好き。今回は恋路に野江ちゃんに料理対決におりょう夫婦の危機(これちと長過ぎ)にと盛りに盛った感じである意味おなかいっぱいだったんだけど、このりうさんの態度と清右衛門の判断が光っていました。小松原の母の話は、良い話だしやったね澪ちゃん!とは思うけど

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スナックちどり/よしもとばなな

よしもとばななはこういう女の子同士が寄り添って生きる話がいいよなあ。彼女の作品はいつも物語を通して伝えたい部分がわりとはっきりしていて、それは人生でここだけは信じていたい、こうやって生きていたい、みたいなとこで、その点においてだいたい私に「ああそうだよかった間違ってなかった」と思わせてくれる、だから好き。好きというか、助かる。あと、こういう人いるよね(今回であれば主人公の元夫)の描き方がとても生々

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おとうさんといっしょ/川端裕人

子育てする男性が主人公の短編集。著者は記者の経歴を持つそうで、こういう人ってエンタテイメント性のある作品を書くイメージなんだけど、裏切らない内容だった。男でもなければ子どももいない私にとっては、リアリティーをねじこみつつおもしろおかしいストーリーに仕立てたものと思っていたけど、感想などを見るとかなりリアルに感じる人もいるようで。「ギンヤンマ、再配置プロジェクト」の、まさに家族が再構成されていく過程

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けむたい後輩/柚木麻子

ホラーかよ!てのが読了直後の感想で。それくらい真実子が怖かった。煙たいなんて遥かに超えてた。いやー、栞子にも真実子にも美里にも共感できないまま最後の台詞にたどり着いてしまったけど、強いてだれかに同情するなら栞子かなあ。イタいなーと思うけど、「いるいる」感なのか自分の過去との共通点なのか、はたまた真実子的心境…いや、ないな。たぶんラストが可哀想すぎたんだな。「あまからカルテット」と「早稲女、女、男」

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