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第2話 「衰弱した両親」

午前中に実家の草刈りを終えて家に戻ったが、父と母の様子がどうしても頭から離れなかった。
昼食をすませてから、もう一度車で実家に向かった。

父と母の様子は午前中とそれほど変わっていなかった。

秋だというのに半袖・短パン姿で扇風機にあたりながら横になる父。
その横で生気のない顔でぼーっと座る母。

改めて見る両親の衰弱した姿に、僕は衝撃を受けた。

「父さん、母さん、体調大丈夫?ご飯食べれてる?」と声をかける。

「・・・ああ。。」

父から一応返事はあったが、どう見ても大丈夫そうではない。
母は目の焦点が合っておらず、ほとんど何の反応もない。

とりあえずと思って近くのコンビニで買ってきた菓子パンとお茶を食べさせようとしたが、二人とも食べる気力すらないようだった。

僕はこれまでに経験のない状況に置かれていた。
自分がどうしたらいいか分からなかった。
ただ1つ分かったのは、このままじゃ大変なことになるということだ。
いくらなんでもこのまま両親を放っておくことはできない。

これはいくらなんでもまずすぎる。
すぐに病院に連れて行かなきゃ。
でも、どうやって連れて行けばいいんだ?
弟を呼んだとしても、両親を車まで運ぶことなんてできるのか?

とはいえ、こんなことで救急車を呼んでいいのか?
頑張れば自力で病院に連れて行けるんじゃないか?

僕は混乱した頭でそんなことを考えていた。
でも結局答えは出なかった。

スマホで「救急車 呼ぶべきか」と検索すると、「救急医療情報センター」というものがあることが分かった。

電話して状況を説明すると、
「こちらでは救急車を呼ぶべきかどうかを判断することはできませんが、病院に連れて行くことが困難な状況であることは間違いありません。
119番に電話して、救急車を呼んでも構わないと思います。」
と言ってくれたので、救急車を呼んだ。

「父さん、母さん、救急車を呼んだから、病院に行くよ!」

父と母からは、あまり反応がなかった。
僕はあせる気持ちを抑えながら、救急車の到着を待った。

(続く)

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