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立ち上げ期のバーティカルSaaSセールスで苦労した5つのこと

「あと1人セールスがいたら」という後悔

最近、1つ後悔したことがあります。

以前展示会に出展した際、これまでより多くのリードを獲得することができ、結果として商談数も十分に確保することができました。

Smart Craftは現在、フルタイムメンバー10名以下と、少数精鋭で事業を行なっています。フルタイムのセールスメンバーはおらず、私が既存のお客様のフォローやマーケティング、プロダクトなど様々な重要なプロジェクトを持っている状況でした。そのため、新規の商談をある日どうしてもリスケしなければならないことに。

そして「来週〜再来週に日程を再調整させていただけないでしょうか」と伝えたところ、「早めに製品概要を聞きたかったからそれ以降の日程であれば打ち合わせは結構です」と、せっかくのチャンスを逃してしまい、「あと1人セールスがいたら」と悔しい思いをしました

製造業SaaSのセールスとして、求められていることは何か?

プロダクトの日々の改善を経て、顧客での導入成果も出てきたということもあり、1人目セールスの求人募集をオープンすることに。それに伴い「製造業SaaSセールスに求められることって何だろう?」と改めて考えました。

整理を進めながら、「これはもしかしたら製造業に限らず、他の産業DXを志すバーティカルSaaSの企業でも同じような話があり、もしかしたら参考になる方も一定いるのでは?」(そして未来のSmart Craftの1人目セールスにnoteを通じて出会えたら…🙏)と思い、今回noteに<立ち上げ期のバーティカルSaaSセールスで苦労した5つのこと>という形でまとめてみることにしました。

(「苦労した」と書きつつ、正直な話「そんなに苦労するものか?」と思われる話もあると思いますし、むしろそう思われた方がいたら、ぜひSmart Craftの1人目セールスへの応募をご検討ください!)

それでは1つずつ見ていきましょう。

苦労① 各ステークホルダーの異なる課題を整理し、企業課題として言語化

「部門や役職に課題が共通化されていない」
私自身、まずはこの壁にぶつかることが多かったです。「Smart Craft」は製造現場における計画〜実行〜分析、というモノづくりの一連のプロセスである「工程管理」業務のDX(そしてそれは工場におけるQCDを支えるコアオペレーション)に関するソリューションにつき、製造部の人はもちろん、工場長や生産管理部、情報システム部、経営企画部……といった様々なステークホルダーが存在します。そのため、お客様の課題って、立場や部署によって変わってくるんですね。

製造業の組織図イメージ

実際の現場業務も、複雑性が高いです。例えば、何か製品の受注が入ると、本社側からの大まかな計画や依頼を受けた工場の生産管理部門が1ヶ月〜数週間単位に整理し、現場への指示を行います。
他方で現場作業を製造管理者がマネジメントしたり、その後、検査結果は品質管理部が担当し、設備が壊れたら設備保全の部署が担当し……などと、多くの部署が協力しあって、製造業のものづくりは行われています。

なのでやはり、それぞれの立場や部署によって見えている課題は異なります。製造企業各社が同じ課題認識をもっていることは稀です。
特定業務や職種に特化したホリゾンタルSaaSであれば課題が共通化されているケースが比較的多いですが、工場内の多くの人が関わる私たちのようなバーティカルSaaSプロダクトの場合、様々なステークホルダーからのヒアリングを通じて、共通化されていない課題を共通化していく必要があるのです。


苦労② 顧客の理想状態実現に向けた As Is / To Beの整理・合意形成

次にこれにも苦労しました。レガシーな業界の企業では顧客自身も自社の現状の課題やDXされた先の理想の状態もまだ見えていないケースがあります。そのためには、商談の最初から自社プロダクトの説明ばかりするのではなく、様々な顧客との対話を通じて「つまり御社では現状こういう課題がありますよね?(As Is)」そして、「御社でいうDX実現とはつまりこのような状態ですよね?(To Be)」と合意形成しながらプロジェクトを進めていく力(ある種の「コンサルティング力」)も求められます。

たとえば、自動車部品業界の製造業を例にとると、部品の調達から加工、組立、検査に至るまで、多岐にわたる製造プロセス・それに伴う業務が発生します。これらのプロセスごとに必要なリソースや人員配置も異なります。

ここでまず大切なのが、顧客の業務・現場を深く理解すること

私たちは、お客様との対話を通じて、各製造プロセスや業務の詳細を把握し、それぞれを最適化するための提案を行います。また、仮説を立てながら顧客の意見を取り入れ、必要に応じて提案を修正し、最適な解決策を見つけ出すことが求められます。

このプロセスでは、まさにセールスの介在が不可欠です。顧客との最適な信頼関係を築き、率直に課題や理想状態をヒアリング・合意形成を進めることで、DXの成功確度はグンと高くなると感じます。


苦労③ お客様を推進者として味方につける

DX全体のプロジェクトを進めるにあたり、お客様を推進者として味方につけることも極めて重要です。

一般的なSaaS製品の導入では、CSによる短期間のオンボーディングの後、利用者は自己学習に任されることが多いです。しかし、Smart Craftでは、お客様主体で中長期でも自走していただけるよう、顧客側の推進チームと共に伴走する体制を構築し、継続的な現場サポートと横展開を協力して行っていきます

これはなぜかというと、顧客が自社が主体となって成功体験を得られなければ、次のステップに進む可能性が低くなるためです。また、単に成功したとしても、推進チームとの継続的な関係性がなければ、その成功を持続させることはできません。
したがって、顧客と深く関わり、信頼関係を築きながら、どのようにプロダクトを展開していくかを一緒に考えることが重要です。


苦労④ 現場の人にも「これなら使える」と思ってもらう

4つ目は、現場で働く作業者の方々にも「これなら使える」と思ってもらうことです。
現場向けのSaaSでは意思決定者(経営層やDX推進チーム)と実際の利用者(現場作業者)が異なることが多いため、いかに実際にソフトウェア利用するユーザーにも「使いたい」と思っていただけるかがとても重要です。

「製造業SaaSセールスに限らず当たり前のことじゃないか」

そう思われるかもしれません。私自身もそう思っていたのですが、この間、1つ失敗してしまったことがありました。

データ分析や品質管理系の新機能がリリースされた際の新規顧客との商談時に、私はつい自分の熱意に任せて、良かれと思って「これまでにない機能が追加されました!」と新機能を一気に紹介してしまいました。

気づいたらデモだけで15分。紹介した後、お客様から「ごめん、ちょっと難しそうだからいいや」と言われて初めてハッと気づきました。

その時お客様が求めていたのはシンプルに「工場の各工程の進捗がわからないので、工程ごとに製造実績をとって、進捗を見えるようにする」ことでした。それこそ、私たちの現状プロダクトの機能で解決できる課題です。私は「それは簡単にできますよ」と言って、顧客のニーズに沿った回答や簡単なデモと説明をするだけで十分だったのです。
商談の中で一度でも「難しい」と思われたらその後受注の可能性は限りなく低くなります。「これは使えそうだ」と思ってもらうために重要なのは、お客様の立場に立ち、彼らが本当に求めていることを理解し、簡潔に伝えることです。


苦労⑤ プロダクトビジョンを示し、顧客を巻き込む粘り強さ

最後に1つあげるとしたら、「プロダクトビジョンを示し、顧客を巻き込む粘り強さ」ではないでしょうか。

新しいプロダクトを市場に投入し、初期の実績を積み重ねる過程では、顧客との深い信頼関係の構築が不可欠です。この過程においては、お客様に自社のプロダクトビジョンを示して粘り強く提案する、信念を持って顧客に向き合うことが重要です。

お客様と信頼関係を築きながら、自分たちのプロダクトの可能性を信じてもらえるか。最終的にワクワクさせられるか。工場内の多くの関係者を巻き込みながら取り組みを進める上では、自信を持って「このプロジェクトを一緒進めましょう」と提案できることが求められます。

キーエンス時代の自分は「自分に営業力がある」と思っていたのですが、Smart Craftを立ち上げてから「それは勘違いだった」と気づかされました。自分でゼロから事業を作ると、そもそもアポイントは全然取れませんし、いくら説明をしても理解を得られない場面も多いです。

まだ事業やプロダクトがまだ未完成なフェーズにおいては最後、粘り強く顧客と向き合うしかありません。とにかくお客様の声に耳を傾ける、解像度を高める、お客様が理解できなければ何回も説明する。
Smart Craft社がバリューの1つに掲げる「GRIT」(勇敢な意志を持ってやり抜くこと)の重要性は、特にセールスの場面で特に感じるものかもしれません。

(「Smart Craft Company Deck」より)

組織を牽引する「1人目セールス」を募集しています

冒頭で述べたような後悔をもうしたくないのはもちろん、事業を今後大幅に加速させるために、私たちはセールスメンバーの力を強く必要としています。

製造現場DXプラットフォーム「Smart Craft」を2023年夏に正式にローンチした今、0→1フェーズの初期のお客様にプロダクトの価値を適切に届けることが重要なフェーズにあります。様々な製造業のサービスがある中で、Smart Craftはど真ん中の業務、製造現場の本当にコアな業務オペレーションの変革を担っているプロダクトです。

製造現場のあらゆる業務をデジタル化し、従来の工場からスマートファクトリーに向けた変革をを実現する「製造現場DXプラットフォーム」の構想を共に目指す、「製造DXの領域で大きなチャレンジをしたい」という仲間を絶賛募集中です

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