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寂しいピエロを抱きしめて

本当の意味で俺を理解してくれる人は居ない。勇気は物心がついた時から自分は他の人とは何か違う違和感を感じていた。世間の人々が毎日どういう感情で生きてるか分からなかった。勇気は生まれつき痛みを感じやすい体質だった。それは自分の痛みも他人の痛みも感じやすい体質だった。勇気は保育園の頃から周りの人と馴染むのが苦手だ。一見傍から見れば周りと上手く馴染んでいるように見える。保育園では普通に晴れた日は皆で外で遊具や鬼ごっこをして遊んだり雨が降っている日は中でおもちゃで遊んだりしている。また勇気の周りには人が集まりやすく楽しく遊んでいるように見える。しかし内心ではどうすれば人を傷つけないかまた自分が傷つかないかなどをよく見て周囲に馴染もうと演じているだけだった。その為空気を読んでわざと道化を演じて周囲を笑わせようとしたり本当の自分を知られて相手を傷つけない為にわざと明るく振る舞ったりしていた。それは外の世界だけでなく家の中でも例外ではない。会社でストレスが溜まっているのか家では厳粛で怖い父親のご機嫌を取る為にわざと父親の前でもボケて笑わせようとしたり家族で写真を撮る時には出来るだけ両親に笑ってほしいと思い変顔ばかりしてた。その結果勇気の小さい頃の写真はふざけた顔した写真が殆ど。しかし内心は全くふざけていなく寧ろ人に気を遣い過ぎる余り自分の感情を押し殺して周りにサービスをしようとしていた。そしていつしか自分の感情を押し殺して生きるのが日常になり本来の自分を見出せなくなっていく。  

(後編に続く)

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