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2024.03.20(水)Tiger&Horse

先週金曜に現職最後の取材の仕事があった。分量的にも難易度的にもそこまで大変な仕事ではないので、早いところ原稿を仕上げて次の会社に入る準備や有休消化中の計画でも立てたいところだが、いまひとつ気が乗らず、遅めのスピードで進行している。が、今夜アラアラ書き上げたので、あとは本文と見出しの推敲、画像のセレクト&レイアウト、最終校正を終えれば明日中にあがるかもしれない。

ところで、大学時代の恩師が今月で退官し、その大歓送会を月末に挙行するらしい。今日がその出欠回答の期限だったらしく、おそらく俺よりもずっと若い卒業生からリマインドのメールが来ていた。

俺は関わる気が一切ないので黙殺したが、この1通のメールで当時の苦い記憶をまた呼び起こされてしまった。いわゆるトラウマである。

恩師(およびその愛人たる同期女性)は在学当時から俺を目の敵にしていて、冷たく当たってきた。同じ行為をしている学生が他にいるのに、俺だけ叱られたこともあった。要するに、嫌われていたのである。劣等生のくせして妙にこだわりの強い俺が、お馬鹿なナルシストとして映ったのだろう。どうにかしてその鼻をへし折ってやるーーそんな気概を彼らから感じたものである。

コピーライターになって3年近く経った頃だったか、後輩の結婚式で同席する機会があった。ひさびさの対面の第一声は「まだ続いてんの?」。ずいぶんと失礼なことを言うなあ、と感じたが、表面上は角に立たないようなんとか努めた。

披露宴が終わり、場所を変えて同窓生だけで飲みに行こうとなった。ご無沙汰だったのですっかり忘れていたのだが、恩師は一度酒が入ると何次会までも学生を連れ回すのだった。ただ、この日は自宅で仕事をする予定があったのでその旨を伝えると一笑に附し、こう宣った。

「俺がコピー書くよ。俺の方が上手いだろ」

店への道すがら、最終的には巻くことができて事なきを得たのだが、このとき「金輪際恩師とは関わらない」とひとり誓ったものである。

俺がコピーライターという肩書きにしがみついていた1つの要因は、そこにあるかもしれない。ここで辞めたら、喜ぶのは恩師らだ。辞めたら、負けだ。コピーライターとして成功することが、彼らへの復讐だ、くらいには思っていた。

去年ようやくその呪縛から解放され、自分の意思で転職を選んだ。そして幸運にも、よい企業に迎え入れられることになった。納得の行く環境で、やりがいのある仕事に打ち込むことで、このトラウマを頭の中から追い出したい。何かを成し遂げたら復讐達成だとか、今に見ていろとか、できればそんなことはもう考えたくないのである。


そろそろ創作活動を再開したい。書きかけのまま数ヶ月止まっている作品を急いで書き上げて、月末締切の賞に応募するか。すでにある作品を4月から公開するための準備を進めるか。転職先への入社準備で意外とやることが多いので、どちらをやるか迷っている。

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