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「21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由」で振り返るRCA-リハビリ編

現在、僕は英国Royal College of Art (以下RCA) という大学院でサービスデザインを学んでいる。留学生活も残り数カ月となったということもあり、色々な角度からサービスデザインについて振り返ってみようと思う。

今回拠り所にさせていただいた本は佐宗邦威さんの「21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由」。ビジネスからデザインにーという方にはぜひおすすめの一冊です。

RCAでの最初の1年間は僕にとってのリハビリ期間であった。1つ目のリハビリは脳のリハビリで、2つ目のリハビリは心のリハビリでした。

まずは、脳のリハビリのお話。

ビジュアルを集め、ビジュアルで考える

RCAでは様々な状況下でビジュアルで考え、ビジュアルでアウトプットを出すことを求められる。留学前まで僕は特に数字を扱う仕事をしていたので、このビジュアルでインプットし、考え、アウトプットする習慣が皆無でした。そこにきてクラスメートは本家本物デザイナー、これは辛い!

次は心のリハビリのお話。

アウトプットやプロセス が「明確ではない」状態に耐えられるか?

僕のコースはクライアント企業とのプロジェクトが学びの中心となっており、4-5人のクラスメートで1つのプロジェクトチームが構成されている。コースのヘッドから、いくつかプロジェクトテーマが紹介される中で、僕はFuture Workを選択。そしてこのテーマだけ与えられ、後の課題設定や進め方、具体化はチームに任せられ、1週間に一回専属のチュータに進捗報告し、フォードバックを貰うことになる。

僕が留学前に携わったプロジェクトは、材料と調理器具、大枠のレシピと何を作るかは大体決まっていた。一方でRCAでのプロジェクトは、全て自分たちで共創 (Co-creation) していかなければならない。チュータからも「君たちはどの材料を中心にデザインするの?」と聞かれる。また、プロジェクト中も「あれ、何料理してるんだっけ?」「このレシピでいいのか?」「そもそもこの料理誰に出すんだっけ?」といったカオスが続く。いい感じで混沌としたところで、Who knows!?= 誰も正解を知らないからもう議論はいいよ、適当に試作して、外に出てこの料理がイケているか聞こう!となる。

試作を通して「おっ具体的でいいじゃん」と思うが、実際は色々なフィードバックを通して、「そもそも食べるとは何を意味するか」といった抽象テーマにまた戻ることが多い。こんな、そんなを当然の様に繰り返すため、順序だったプロジェクト参画に慣れ親しんでいた僕にとって、RCAの1年目はまさしくカオスに慣れるリハビリ期間であった。

デザイン思考のプロセスは、ステップ ではなく、何度も行き来を繰り返し て質を上げていくものなので、同じガイドでも地図というよりは羅針盤に 近いものです。

「リハビリ」というワードを選んだのは、僕も小さい頃は周りの目を気にすることもなく絵を描き、それで自分を表現していたと思ったから。また、自分で遊びのルールを創り、物語を想像し、そのカオスを楽しんでいたと思ったから。そういった意味で、全く新しいことをRCAで学んでいるわけではなく、むしろ本来の人間としての自分に回帰していると感じるからである。


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