ロゴやキャッチで使える欧文フォント2020 - ローマンキャピタル(碑文)系編
Caslon や Helvetica など「デザイナーが知っておきたい基本の欧文書体」というようなのは別の記事に任せ、欧文で長文を組むことがあまりない日本人向けに、ロゴやキャッチコピーなどですぐに使えそうな目を引くデザインの書体を紹介します。
トラヤヌスの記念柱
ローマにトラヤヌスの記念柱という遺跡があります。ローマ皇帝トラヤヌス(A.D. 53–117)がダキア戦争の戦勝記念に建てたもので、その根本には以下のような碑文が掲げられています。
現在ではこの書体はローマンキャピタル Roman Capital と呼ばれていますが、実はこれこそが今あるすべてのローマン(セリフ)書体の大文字の原点とされています(他にも匹敵する美しい碑文はあるそうですが、これが一番字種が多いそうです)。今では何万というバリエーションが生まれ、様々なデザインのローマンがありますが、すべてはこれから派生しています。今回はこの碑文の威風堂々たる雰囲気を保った、オリジナルに近いデザインをされた書体を紹介します。
※各フォントの購入方法は以下の note に記したので参考にしてください。
最も近い書体 Trajan(トレイジャン)
「トラヤヌス」の英名そのものが名付けられたこの書体が、ローマンキャピタル系としては最もポピュラーかつ優秀なものだと思います。Adobe の Carol Twombly(1999年まで在職)という女性タイプデザイナーの作で、かつては Adobe 製品に標準添付されており、現在でも Adobe Fonts にて配布されているので、デザイナーにはお馴染みの書体です。
碑文の雰囲気を大変よく再現しており、堂々として品格があります。またよく映画のポスターで使用されることで知られており、以下のような記事まで書かれています。
ほかにもいろいろ
Trajan 以外にもこのローマンキャピタル系の書体はたくさんあります。オリジナルは小文字はありませんが、小文字もデザインされたもの、スワッシュやリガチャーがあるもの、カリグラフィックなもの、セリフがないサンセリフタイプなどがありますが、共通しているのはこの威風堂々たる雰囲気です。格調高いデザインには大変重宝します。
・Goudy Trajan
・Goudy Titling
・Stevens Titling
・FS Rome
・Emporia Roman
・LP Saturnia
・Jupiter
・English Engravers
・New Horizon
・Requiem
・LTC Record Title
・Magneta
・Troy
・PF Monumenta
・Waters Titling
・Marcus
・Turquoise
・LeBrush
・Emperator
・Le Beaune New
・Imperija Roman
・P22 Folkwang
・Majesty
・Classic Roman
・Cinzel (Google Fonts)
・Sursum
・Mramor
・Belda
・Orpheus
・Odyssey
・Trajan Sans
・Trajana Sans
・Roma
・Lapidary Capitals
・RRollie
・Artica Pro
・Epigraph
・Legan
・Emperatriz
・Synopsis
…普通じゃない? どこがいいの?
慣れない目には退屈に見えるこれらのローマンキャピタル系書体ですが、ちゃんと使いこなせば大変品のいいデザインに見せることができます。コツとしては詰めすぎないこと。他の要素と十分なスペースを取りましょう。文字同士も詰めすぎないようにゆったりと。「余裕」こそが品を生みます。
ブログ “Font for the Day”
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カフェラテおごってください。