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「空寒み花にまがへて散る雪にすこし春ある心地こそすれ」について


空寒み花にまがへて散る雪にすこし春ある心地こそすれ

この句は、清少納言が藤原公任から与えられた「少し春ある心地こそすれ」という下の句に対して詠んだ上の句を合わせたものです。この一連の流れを、少し詳しく解説します。

背景

藤原公任(ふじわらのきんとう、966-1041)について

藤原公任は、平安時代中期の歌人であり、貴族でした。彼は和歌の名手であり、『三十六歌仙』にも数えられる人物です。彼が清少納言に「少し春ある心地こそすれ」という下の句を与えたことで、清少納言はその上の句を詠みました。

句の構成とその意味

下の句: 「少し春ある心地こそすれ」

現代語訳: 「少し春の気配が感じられるよ」

まだ冬の寒さが残っているが、春の兆しが感じられるという意味です。この下の句は、春の訪れを待ち望む心情を表現しています。

上の句: 「空寒み花にまがへて散る雪に」

現代語訳: 「空が寒いので、まるで花に見間違えるように散って降る雪のために」

冬の寒さの中、雪がまるで花びらのように舞い散る様子を描写しています。この雪の美しさが、春の兆しを感じさせるという情景を表現しています。

詳しい解説

空寒み(そらさむみ):

「空が寒い」という意味です。冬の終わりの寒さを強調しています。

花にまがへて散る雪に(はなにまがえてちるゆきに):

「花に見間違えるように散る雪」という意味です。雪がまるで花びらのように舞い落ちる様子を具体的に描写しています。この部分で、視覚的な美しさと共に、春の花を連想させることで春の気配を感じさせます。

少し春ある心地こそすれ(すこしはるあるここちこそすれ):

「少し春の気配が感じられる」という意味です。下の句では、冬の終わりに春の兆しを感じる心情が述べられています。

まとめ

藤原公任から与えられた「少し春ある心地こそすれ」という下の句に対し、清少納言が詠んだ「空寒み花にまがへて散る雪に」という上の句を合わせることで、寒い冬の空から花びらのように散る雪を見て、その美しさの中に春の気配を感じるという情景が詠まれました。この句は、冬の終わりに春の兆しを見つける繊細な感受性を表現しており、自然の変化を通じた季節の移ろいを感じ取る清少納言の視点がよく現れています。

枕草子への収録

この和歌は、清少納言が『枕草子』の「二月つごもり頃に」の段で記述したものです。この段では、冬から春への季節の移ろいを感じ取る心情が描かれています。この和歌が『枕草子』に収録されたことで、清少納言の感性と文学的才能が後世に伝えられることになりました。


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