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ふみのわ

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文芸部「ふみのわ」の文芸集です。 顧問のわたし、文(ふみ)先生が定期的に課題 "ぶんげぇむ" を出しますので、部員の皆さんはしっかりと課題に取り組んでくださいね! もちろん部員で…
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2021年3月の記事一覧

第6回文芸課題"ぶんげぇむ"発表します

みなさんこんにちは。文(ふみ)先生です。 前回第5回ぶんげぇむでは、『ミモザ』『図書館』『ふたり』をキーワードに、色々なテイストの作品が集まりました! 今回のぶんげぇむは、これまでとはいくつか異なる点を用意しました……!変わったのは、「キーワードの数」「文字数の上限」「締め切り」です✨ いつもよりも余裕を持ってご準備いただけると思いますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね!もちろん、はじめての方もお気軽にご参加いただけます♪ さてお待たせいたしました!文芸部『ふみの

第5回文芸課題"ぶんげぇむ"まとめ

みなさんこんにちは。文(ふみ)先生です。 文芸部『ふみのわ』による文芸課題、"ぶんげぇむ"、第5回目となる今回は、6作品が集まりました! ▼前回、第4回目のまとめはこちらから 第5回文芸課題を提出いただいた部員・仮入部員のみなさん、ありがとうございました! 今回は、初めて、文字数の下限を1,000文字に設定してみました。今後も文字数を変更したり、思い切って長編などもやってみたいと思っているので、楽しみにしていてくださいね♪ さっそく、第5回文芸課題"ぶんげぇむ"につ

ミモザ

 図書室へ向かう制服の列。  私の足取りは重くて、心は落ち着かなかった。  「シーッ。静かに。」  先生は、制服たちを絨毯の上に座らせると、大きなテーブルにもたれかかった。先生の背から朝の光が差していた。  「今月のアクティヴィティの時間は、みなさんに図書室で研究をしてもらいます。自分で決めたテーマについて、ここにある本を自由に使って調べてください。」  制服は仲良しグループでかたまりながら、本棚が立ち並ぶほうへと歩いていった。  私は一人、何について調べてよいかわからない

友情

 規則正しく並べられた本の隙間から、由美がこちらを見てふっと笑った。僕は照れくさくなって、読みたくもない小説に手を伸ばした。なんとなく拾ってきたその表紙を開き、数ページ読み進めたところで、重たそうに本を抱えた彼女が戻ってきた。窓から差し込む光が、華奢な腕についたわずかな筋肉を浮き彫りにする。 ――このシーン、懐かしいな。 今度は僕が笑ってしまった。彼女は静かに僕の隣に座ると、本の山から1冊手に取り、ページをめくり始めた。僕は瞼を閉じて彼女に気づかれないように静かに深呼吸をした

【短編小説】 いないと困ります

辞令を言い渡されたとき、ふと片倉さんのことを思い出した。 昨年の3月に退職した先輩。いつ、どんなときに声をかけても必ず手を止め、相手の顔を見て「どうしたんですか?」と言ってくれた片倉さん。誰に対しても敬語で、仕事を一生懸命こなし、常に笑顔で優しい人だった。私と4歳しか離れていなかったけれど、今時こんな人もいるんだと驚いたっけ。図書館の司書か保健室の先生として働いていそうな雰囲気だった。 上司からも部下からも、取引先からも愛されていて、「この人はきっと長く勤める人なんだろう

第5回文芸課題"ぶんげぇむ"発表します

みなさんこんにちは。文(ふみ)先生です。 前回第4回ぶんげぇむでは、『出せなかった手紙』をテーマに、様々なスタイルの作品が集まりました!毎回のことですが、ふみ先生は驚きと感動でいっぱいです✨ 今回のぶんげぇむは、これまでと同じく3つのキーワードを設定しました!ただ、文字数の設定を変えてみましたので、しっかりご確認ください! これまでご参加いただいた方も、初めての方もお気軽にご参加くださいね♪ さてお待たせいたしました!文芸部『ふみのわ』第5回目の課題を発表します!

第4回文芸課題"ぶんげぇむ"まとめ

みなさんこんにちは。文(ふみ)先生です。 文芸部『ふみのわ』による文芸課題、"ぶんげぇむ"。第4回目の今回は、過去最多の作品が集まりました! ▼前回、第3回のまとめはこちらから 第4回文学課題を提出いただいた部員・仮入部員のみなさん、ありがとうございました! 今回はこれまでとはまたちょっと違ったスタイルでお題を出させていただきましたが、まったく予想外のストーリーやエッセイが届き、驚きと感動でいっぱいでした♪ さっそく、第4回文芸課題"ぶんげぇむ"についてまとめていき

【短編小説】 せんせい、あのね

せんせいあのね。 きょうはあさからとてもいいことがありました。 まいにち見ているテレビのうらないでおとめざが1位だったこと。 体いくのてつぼうでさか上がりができたこと。 かん字のテストで100点がとれたこと。 きゅうしょくであまったあげパンジャンケンでかったこと。 いっぱいいいことがありました。 だからお母さんにほめてもらえるかなあと思ってワクワクしていました。 さいきんお母さんは、かなしそうなかおをしていることが多いです。 だからお母さんが元気になるかなあ

mudai

元気? 元気じゃないってわかっているのにそんなこと聞くなんて そんな芸のない人、嫌いだったんだけどな やっぱりこういうとき「元気?」って聞いちゃうよね ごめんなさい この「ごめんなさい」もいらないってわかっているけど 書いちゃった だから許してね なんて言えばいいのか 言い表せないから今まで何もできなかったんだけど わかっているんだけど 言葉にしようと思っている私は結局バカなんだよなあ こんなの書いて、どうしたいんだろう どうしたいんだろうね わかんない でも書くね どう

下書き

ダイビングに挑戦した海 バス旅行で訪れた棚田 屋台で食べた料理 夕陽、渋滞、日焼けした足 スーパーで見つけた変なお菓子 漢字のTシャツをきた子供 色鮮やかな花 南国フルーツ あのときあなたに見せたかったものが いっぱいつまったメッセージ 今もまだ、下書きフォルダの中で 今もまだ、削除ボタンを押せない私に 今もまだ、送信されるのを待つように 懐かしい 少し苦くて甘い記憶 あの頃の私のために もう少しの間残しておいてあげようと 今はまだ、そう思う

だいちゃんへ

だいちゃんに手紙を書くのは初めてだね。 メールはよくしていたような気がするけど。 文芸部で「出せなかった手紙」を書くことになって、 だいちゃんのことを思い出したよ。 でもいま書いているから、これは書けなかった手紙だね。 書けなかったから出せなかった。 「出せなかった手紙」だから書いてしまうんだけど、 これからだいちゃんには大変なことが起こるんだ。 僕はみんなと仲違いしてしまうから、 駆けつけることができない。 本当にごめん。 よく二人で服を買いに行ったね。 すごく楽しか