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この世に花屋があって良かった


先日、友人が入籍した。

その子と出会ったのは高校の入学式。新鮮な教室で偶然前の席にいたその子に私から話しかけた。当時のことを振り返ると、その子いわく「『名前なんてーの?』って話しかけられて、ちょっと怖かったっていうかびっくりしちゃった!」らしい。そんな風に話しかけたことは覚えていなかったけど、多分その時の私はガッチガチに緊張していて、勇気を振り絞って声をかけたために変なセリフが口から出てしまったのだと思う。その子はそんな私に明るく優しく名前を教えてくれた。「こんな天真爛漫な明るい子と近くの席で良かった」とホッとしたことは覚えている。

その印象はこれまでずっと変わらない。底抜けに明るくて可愛らしい子だ。「ひまわりのような人」とはよく言うが、私の人生で出会った人の中で最も「ひまわりのような人」だと思う。とにかく明るくて、その子がいると場が華やかになる。話していると元気が出る。その癖たまにブラックまでは行かないグレーぐらいのジョークを言ったりする。でも彼女からとめどなく溢れる愛嬌が勝ってしまうのでそんなところも可愛いと思ってしまう。とにかく私はそんな彼女に魅了され、これまでたくさん楽しい時間と元気をもらってきた。

その子のことをどうしてもお祝いしたくて、悩んだ結果花束を贈ることにした。私がここぞと言うときにお願いするとっておきの花屋に頼んで、私が抱く彼女の印象をイメージして希望の色味を伝えた。数日後、はつらつとした明るさと愛嬌と優しさを全部詰め込んだ花束が出来上がって私の元に届いた。それを見て、渡す前から喜ぶ姿が浮かんできて嬉しくなった。さすがとっておきの花屋だ…と思った。

彼女は予想よりもオーバーに喜んでくれた。「お花って本当に嬉しい!ありがとう!」とハートマークをたっぷり付けてメッセージをくれた。添えた手紙は旦那さんに引かれるぐらい何度も読み返してくれたらしい。わざわざ花束と一緒に写っている写真も撮って送ってくれた。花束の彩りがその子にあまりにも似合っていて、心の中でとっておきの花屋に何度も感謝した。

私は花を贈ることの良さにハマってしまい、そのあと別の花屋にふらっと立ち寄りいくつか花を選んで買って、同居人にプレゼントした。なんでもない日だったけど、日々の感謝の気持ちを込めた。突然のお花のギフトを受け取った彼は、とても嬉しそうだった。ドライフラワーにしたいとまで言っていた。

花ってすごい。こんなにも人を喜ばせるパワーがある。気持ちを込めて、相手に伝えることができる。日々を彩ってくれる。

「この世に花屋があって良かったなぁ」

家に飾られたオレンジのカーネーションとイエローのバラに見惚れながら、そんなことを思った。




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