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天井裏の音_2024年2月18水/晴れ

びっくりしたなぁ、もう。
いまこうして静かに書いてるのが嘘みたいだ。
今朝ですね、
「ゴリゴリッ、ゴリゴリッ、ゴリリリリ…」って
家の天井裏から音がしたんですよ。
いちばんはじめは「ゴリッ」と鳴っただけだった。
地震かなと左隅を見ていたら
その音が「ゴリゴリッ、ゴリゴリッ、ゴリゴリッ」になり、
「ガサガサッ、ガサガサッ」も加わって、またたく間に
「ガリゴソッ、ゴリゴリッ、ゴリリリリ…、…ゴリリリ…」
に育ったのだった。
どうも、なにかが天井裏で「木」をかじっているように思えた。
けっこう大きい音だからこれはネズミではないぞ、
と慄いたわたしは、なぜかハクビシンを想像していた。
結局「ガサゴソ、ゴリリリ…」は10分くらい続いたかな、
とっさに録音したのだけど、アイフォンってすごいね、
普段気にしない時計のカチコチ音まで拾うんだ。
いま録音を聞いていても、上に住んでる人の物音ではないとわかる。
だってさ、あんな動物っぽい「動き音」をだせないもの、人は。

それにしても、わたしは何にビクついているのであろうか。
子どものころ、可愛がっていたハムスターが床下に逃げたことがあった。
後を追って隙間から床下を覗いたら、
ハムスターではなく大きなドブネズミがいて、目があってしまった。
このとき「ハムスターは大ドブネズミが喰った」と母親に聞かされて、
見てはいけないもを見たと思ったものだ。
いつからか、こわいものは見えないところに生きているとは思っている。
それに。
天井を食い破ってハクビシンが上から出てくるのは嫌である。
騒動が面倒だし、ご飯が食べられないとか寝られないとかで住めなくなる。
地震が起きて潰れた「家」をいくつも見てきたし。

思えば、人にとって
「家」が壊れることは最大に近いくらいこわいことではないだろうか。
安心できて、背中と手足を伸ばせるところがなければ、
やがて心が追い詰められる。
じぶんという人間がいて、
じぶんを育む「家」という空間があってから、人とつながれる。
だから人は、「家」が壊れるのがこわいし、壊されると怒るのだ。
愛する人といても「家」がなければ行き詰まる。
長く野宿する人も、安定した場所をひとつは持っているだろう。
「家」はなくしてはいけないものなのだ。

とはいえ、管理会社からあの音についての連絡はまだない。
わたしとしては、また鳴ったらどうしようなどと思いながら
音の正体がわかるのを待っている。
その正体を聞いたら
「なんだ、そうだったのねー」と笑いあっているような気もするけどね。

よんでくださった方、ありがとうございます! スキをくださった方、その勇気に拍手します! できごとがわたしの生活に入ってきてどうなったか、 そういう読みものをつくります! すこしでも「じぶんと同じだな」と 思ってくださる人がいるといいなと思っています。