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三度目_2024年2月9日/雨

「ハヤシライスには玉ねぎと肉しか使わない」
と、今日、はじめて知った。というかはじめて聞いた。
ここのところ、体の不自由な人に料理をつくることがあるのだけど、
玉ねぎと牛肉だけでつくって、とその人から言われたのだ。
材料はなんでもいいと思っているわたしは、
それならそうしましょかと玉ねぎと肉でつくった。
だけど、彼女は小柄で静かに話す姿しか知らなかったから、
頑と言いはっていたことには驚いた。

彼女からハヤシライスの注文をもらうのは、これで三度目だ。
はじめてのときは困った。
ハヤシライスが食べたいがルーがないから、
ビーフシチューのルーでつくってと言われて
思案したあげく、ケチャップを放り込んでそれっぽくしたっけ。
二回目は、高級スーパーの特選ルーが買ってあって、それでつくった。
彼女のお世話をする人が材料を揃えるのだけど、
これまた豪快でおおざっぱな人で、玉ねぎ、じゃがいも、人参とか
カレー的なのを買ってた気がする。
どっちもおいしと言ってたのに、それが三度目にして覆った感じだ。

「三」は、動き出す数字だという。
「ゼロ」はなにもない状態。
そこからものごとが立ち上がると「一」になる。
「一」が集まり「二」なると、極がふたつになるから対流が生まれる。で、そこにもうひとつの力が加わり「三」になることで、ものごとが動き出す。
「三」は、事象の最小単位といってもいい。
ホップ、ステップ、ジャンプとか、三度目の正直とか、
「三」はなにかしら結果とむすびついている。
漫才コンビはかけ合いが面白くて、お笑い三人組のネタにはドラマがある。
日ハム、新庄監督の三年目の采配に期待する人も多いだう。
いままで黙っていた想いを「そろそろ言ってもいいかな」。
三度目のハヤイライスは、そういうことだったのだろうか。

とか考えながら、ハヤイライスについてちょっと調べてみたら、
明治時代にできたことくらいしかはっきりしないらしい。
彼女が玉ネギと肉だけにだわった理由は謎なままだ。
でも、「三」が後押しして、なにかが始まる気もするんですよね。


よんでくださった方、ありがとうございます! スキをくださった方、その勇気に拍手します! できごとがわたしの生活に入ってきてどうなったか、 そういう読みものをつくります! すこしでも「じぶんと同じだな」と 思ってくださる人がいるといいなと思っています。