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日記 タルトで涼をとる

ここ数日、久々に体調を壊してしまった。というか、軽い熱中症になってしまった。

休日の午前中、少し暑いけどそこそこ涼しいかな、というぐらいの部屋の書棚の片付けをしていたら午後には熱が出て全身が筋肉痛のようになっていた。

どう考えたって流行りの感染症かと思ったが、次の日に受けた検査の結果は全て陰性。

おかしいなぁと思いながらも仕方なく丸一日を涼しい部屋で寝ていたらようやく汗をかくことができるようになり少しずつ回復したという具合であった。それでもまだ完全ではなく油断はできないのでしばらくは静養するつもりである。


日頃、小さな娘のことを気にかけ、それこそ流行りの感染症にも意識をし、今後の仕事のことやら、これからやらなければならないこと、夕飯のメニュー(のような小さな日々のこと)などを考えていたらすっかり自分の体調のことを疎かにしてしまっていたようだ。というか、自分に意識を向ける時間が格段に減ったのだと思う。

産後8ヶ月、ここまでわりと平穏に落ち着いて育児をして来られたのも(もちろんかなり良い時とそうでない時の波はあるが)、フレキシブルに働ける夫のおかげでもあるし、ヨガやエステなど少し自分をケアする時間を作ることもできるようにはなってきた。

だから自分はてっきり「しっかりケアをしている」「自分に向き合えてる」と思い込んでいたように思う。

だが、よく考えればそれは数週間あるうちのたった数時間である。それも振り返れば直前まで娘にミルクをあげていたり、髪を振り乱して急いでエステに向かっていたりする。週末に行く映画館でも半分ぐらいうとうと寝てしまうこともしばしば。それが終われば、誰にも頼まれてもいないのに大急ぎで帰宅する。娘が寝た後にはドラマを観たり読書もしたいけれど、疲れてしまってすぐに寝てしまう。
普段もお風呂やお手洗い、食事だってゆったりとることもできず、慌てて済ませている日々なのである。

と、こうして書いてみて結構バタバタしていたよなぁとはじめて気がつくのである。
日々は比較的落ち着いている、と体調を崩すまでの私自身は感じていたのだから、自分の感覚はあまり当てにならない気もするのだ。

娘の存在が、そういう慌ただしさを全て忘れさせてくれている、とも言えるのだけれど。

「私、8ヶ月も経っているのにまだ全然体もイマイチだし、あんまり人にも会いたくないし、なんとなく働きたくもないし、いつまで産後やってるんだろう。さすがにまずいよね」

先日、疲れていた日の夜に夫にこのようなネガティブな発言を私はしていた。

「そんなことないよ。女性の産後はある意味終わらないんだって。ずっとなんだって本で読んだよ。だからずっと体も大事にしないとだめだし本当に大変なんだと思うよ。」

私に優しすぎる夫は、そんなことを言う。

次の日、彼がキルフェボンのタルトを4つも買ってきてくれた。季節のレモンのタルトに、桃のクリームタルト、いちごのスペシャルに、もうひとつは火を通した桃を使った大人のケーキ。

美味しいのはもちろんだが、夫のその気持ちが嬉しくてすっかり私は元気になってしまった。

こういう単純なところが私の良いところなんだ、ということも思い出してさらに嬉しくなっていた。

少しつまずいた時は、こうして些細な贅沢を積み重ねていけばいいのかもしれない。

この週末は、夫の好物を作ろうと思う。たまにはゆっくりワインを開けて、ビオで買ったとびきりのチーズを切って、お肉も焼こう。

でもやっぱり私たちは娘のことが大好きで、きっとそれでも食事を中断して隣で遊んで待っていてくれる娘の相手をしてしまうんだろうけれど。

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