あなたが生きているだけで

あなたが生きているという事実だけで、
生きられる人がいる
あなたが、この世界のどこかで
それがたとえ地球の裏側であっても
勇気をもらえる人がいるんだ
ほんとうだよ
あなたが生きているだけで
誰かの心を満たすことがあるんだ
だから息を吸って
吐いて
生きていてほしいから
どんなつらくても
そのつらさは誰かの絆創膏になるかもしれないから
だから生きて

アイーダに思う

私はオペラ、アイーダを観たことがないが宝塚の王家に捧ぐ歌を観たことがある。
エジプトの武将ラダメスと敵国エチオピアの姫君アイーダの恋物語だ。
とても印象的だったシーンが、ラダメスがアイーダに情報を流したことでファラオが暗殺されてしまい生きたままラダメスは墓に閉じ込められてしまう。
その時にラダメスが夢想するのだ。
「あの人は…生きている」と。
結局、アイーダもその刑の執行場所に潜んでおりラダメスと抱き合いながら死んでいくのだが…
私はその時なんという愛情だと感動した。
あなたはそれほど深く誰かを愛したことがあるだろうか。
私にとっては、母だった。
2年前に末期癌で母を亡くした。
目を開かなくても、話ができなくても、
母が生きているという事実だけで胸がいっぱいだった。
きっとそれは、そばに母がいなくても、この地球上のどこかで生き生きと暮らしてくれているだけで励みになるものだ。
人生にはもしかしたらこういうことが何度か起きるのかもしれない。
どこかで誰かが経験していることかもしれない。
逆に言えば、私が生きていることが、私が書くことが誰かの絆創膏になるかもしれないんだ。私が生きているだけで。

それなら、明日も生きてやろうじゃないの。