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【たましいふく】アラサー地味子がネッシーと再会するまで

再会ー長く別れ別れになっていたもの同士が、再び巡り会うこと

35才と11ヶ月。夏の名残と、秋の予感を肌で感じる9月のある日。私はある「再会」をした。

アラサーとアラフォーの間、年齢なんてただの数字、
とはいえ、自分の人生の夢と現実のギャップについて
向き合うタイミングが訪れるのも、
年齢の節目を前にしたタイミングだったりする。

これは、35歳の地味子である私が、
あることをきっかけに新しい扉を開き放ち、
ネッシーと再会した実体験のおはなしです。


パッとしない日々、変化のタイミング

35歳、私は自宅で治療室を開業した。
開業して一年たっても全然お客さんがくる気配がない。

そもそも周知活動すらしていない。
自宅開業だから看板だって出していない。
隠れ家サロンとして、本当に隠れてしまっている
まさに透明サロン。
ふと今日からSNS集客をするぞ!と
思いつきと気合だけで誓いを立てては、
たった三日であっけなく挫折する日々を繰り返していた。

そもそもSNSは
「自分らしく発信すればいい」
「個人がブランドになる」
なんて言うけど、
自分を客観的に見てアピールできる人って
なかなか居ないんじゃないかな。

何より誰もこない治療院で、暇を持て余している私が
机に向かってうんうん唸りながら、
映えとらしさを禅問答したところで、
なーんにも浮かんでこない。
こういうのがお洒落なんだろうな、なんて憧れは、
自分らしさとはちがうからな。

自分らしさに迷い、
発信していくことにも自信がなかった私は、
まず古い友人や知人に連絡を取ることにした。
知っている誰かに会えば、
何かが動き出す気がしたから。

「鍼灸院をオープンしました。
よかったら遊びにきてね」ってDM。
いつも自分から誰かを誘わず
KOKOUを気取っていた私。
現在、隠れ家サロンの隠れオーナーとして
忍者化しそうなほど引っ込み思案の私が
珍しく10年ぶりの連絡をとった相手は、
大学同期のるみちゃんだった。

「久しぶり!行ってみたい!」
の快い返事。これがまさかの転機になるとは、
1ミリも想像しなかった。

るみちゃんという人


るみちゃんは大学時代の同級生。
前からおしゃれだったけど、
久しぶりに会うとますます素敵なオーラを放ってた。

濃い紫色がかったウェーブのロングヘア、
ヘルシーなオリーブ色の素肌に、
さらっと着た紫色のサロペットが映える。
さりげなく持っている
ターコイズブルーの巾着バッグには
ビーズやキラキラの刺繍が入ってて
まさにオリエンタルなレディのリラックスした休日
って感じ。

グッときた。
こうゆうのが似合うって唯一無二だよね。

「そのヘアカラーも紫色も、めちゃくちゃ素敵、
めちゃくちゃ似合ってる!」

久しぶりの再会のテンションもあいまって、
語彙力を極限まで死なせながら興奮気味にそう言う私に
るみちゃんはこう答えた。

「紫は私のカラーなの。今ねわたし<魂服>っていうのをやってるの。」

「え、なに?たま?」

たましい、ふく?
なにそれ?

魂〜の響きにどこか怪しさを感じながらも
るみちゃんがあんまりお洒落で素敵に輝いていたから
すでに馴染みのない言葉への警戒より、
興味の方が上回っていた。

詳しく聞いてみると、
それはいわゆるファッション診断のようなものらしい。
特徴としては、その人の魂が心地よいと感じる服
をリーディングするそう。

魂?っていうとかなりスピリチュアルな響きで
抵抗感じるんだけど、
例えば「肉食男子が草食ファッションを着ている時の胡散臭さ」
ってわかるかな。イメージがブレる感じ。
なんか、無意識に嘘くさい感じ。

そんな草食男子に赤い豹柄のシャツ着せた時のしっくり感と説得力。ええ、わかりますとも。いい悪いじゃなくて、きみそっちだよ!という感じ。

なんかわかる。いるいる!そうゆう人!
上手く言えないけど、ある!
中身と外見のイメージの違和感って
あえて言語化されることはなくても
意外と他人には伝わっているものだったりする。
でもさ、自分のこととなると
客観的にみるのって難しい。

「それ、私も受けてみたい!」
気がついたらそうお願いしてた。
パッとしない私の毎日の、何かが変わりそうな予感。
直感を信じて、それにかけてみることにした。

無難で匿名、ちゃんとした安心と敗北

実は今までファッション迷子で、
何が似合うのかわからなかった私。
10年前くらいにパーソナル診断で
「骨スト秋でソフトエレガント」って診断されてから、ユニクロと無印とアーバンリサーチしか着てなかった。

ひたすらベーシックでキレイめカジュアル。
THE BUNAN!を選ぶことにした私。

見た目にも内面にも自信がなかったから、
ただひたすらその診断の言葉の型に
ハマってハマってハマり切った。
結果ちゃんと社会に適合してる人みたいに見える。
確かに今までより肌や体型に馴染むし、着痩せする。
でも、それが自分っぽいか?というと微妙。

そう、ただただ無難なかんじで。匿名なかんじ。
BUNAN &TOKUMEIであっても、昔よりはマシ。
垢抜けたねと言われることも増えて彼氏もできたりした。
だからこんなもんで良いか〜って思ってた。 

でもね、
世間に収まりのいい自分を作っているうちに
ワクワクとか遊び心を大事にしてた心は行き場を失ってたみたい。
私なんてこんなもんかな、のつまんなさ。
わきまえて、それなりに、おとなに、
ちゃんとした諦めと敗北の日々。
今考えると、無意識に退屈していたんだとわかる。

魂服リーディングを受ける

いざ、診断の日。この日はるみちゃんと
LINE電話をすることになっている。
自宅の部屋の白い背景のある場所を探して
窓の明かりで顔色がよく見える位置に座る。

「じゃ、今から見ていくね、
 しばらくカメラのレンズを見てて」

るみちゃんは、スマホの画面越しに
私をじーっと観察してる。
診断中はなんか慣れなくてもじもじ。
ひたすらカメラを見つめる不思議な時間。。。
目が乾く。
今日はメガネじゃなくて、
激安コンタクトレンズにしたからな。。

「ふみちゃん、色は銀色、クリア、
 スペイシーでポップでストリートだね。」

20分ほどの長い沈黙の後、
るみちゃんはポツっと話し出した。
聞いた途端ざわっと
鳥肌につつまれるみたいな感覚があった。
だって、
骨格診断やパーソナルカラーとぜんぜんちがう。

え?ってとまどいながら話を聞いていくと

「髪型はね、お団子、左右にふたつ、耳の横」

るみちゃんの言葉が、え?を飛び越えてくる。

え?、、なに!おもしろ〜!!!!

話をしているうちに、
このザワザワは、ワクワクなんだってピンときた。
今まで抑えてたものを放って良いよ、の合図。
それに自然と体が反応してるんだってわかる。

「あと、胸にはネッシーがいるよ」

るみちゃんはそう呟いた。
ネッシー!!

診断を受けて

実は子供の頃からオカルト好きだった私。
UFOとかネッシーとか。
でも、サブカル文化は戸棚に閉まって
隠しておかなくちゃって思ってたの。
もちろんるみちゃんは、
そんな私の戸棚の奥の隠れ趣味は知らないし、
その時見えたものを伝えてくれている。
あ、ネッシーいるよ。って。w

今までの私はもっとオーガニックで、
シンプルで質素でほどほどにキレイめ
みたいな風にならなきゃって思ってた。
鍼灸師だしさ、東洋医学だし
これから美容鍼灸もエステもやるし
嫌われないようにちゃんとして信頼されなきゃって。
自然食やヨガ好きな人ってこんな感じでしょ?
みたいな。

でもやっぱり居るんだね、ネッシー🦕
居たんだね、ネス湖じゃなくて、 
わたしという湖に🦕笑

そう、そういうのめちゃくちゃ好きだった。
診断を受けている最中から少しずつ、
忘れかけていた自分の好きを思い出してきた。

「スペイシーでポップでストリート」

初めに聞いたときの戸惑いは、だんだん
「それ、着てみたい!」
のワクワクの気持ちに変化していった。

35歳でツインのお団子?なんて。もう気にしない。
白髪をメッシュに見立てよう。
年齢縛りなんて、もう古い。
あたしゃ、やってみるよ👽

私にしか似合わない服を着るよ。
魂が喜ぶ服を選ぶ、そう決めたよ。

るみちゃんが描いてくれた魂服のイメージ

るみちゃん曰く、
AMBUSHというブランドが私のイメージに合うそうだ。
髪が自由に、遊びまくっている。
ここのモデルさんたちは
みんな個性的でどこか宇宙人っぽくて面白い。

AMBUSH春夏2023

着こなせるのかわからないけど、着てみたい。
私の場合、そういう服を着てみたことはないのに、
心は全部しっくりきているのが不思議。
診断を受けた翌日から心がワクワクしてる。

ちゃんとした人と思われなきゃ、
人並みにならなきゃ受け入れて貰えない。
実はそういう重荷とか窮屈さとかって、
自分が作り出してるものだって気づいた。
自分の人生で自由になることに
誰の許可もいらないんだよね。
いつまでもそんなの待つ必要ない。

わたしが、わたしを表現すること。
わたしを幸せにすること。
人の信頼や評価なんてコントロールできない。
ただ、わたしがわたしを信頼したい。

再会

再会ー長く別れ別れになっていたもの同士が、
再び巡り会うこと。

魂服は、まさに自分の魂のイメージとの再会だった。
ずっと昔に忘れていた自分の魂と再会させてくれた。
どこか懐かしくて新鮮で、斬新でクリエイティブな出会い。 
『みんな!私はここにいるよ!』
無難で匿名の湖の底で、
私もずっとそう叫びたかったのかもしれない。
決めつけていた枠という小さな湖を飛び越えて、
自由に広い海へ泳ぎ出す。
私の胸にいるネッシーとの再会のおかげで
もっとスペシャルな未来が始まる気がしている。





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