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編集から見た欲しいライターの条件 雑誌編①アンカーライター

noteを始めて気がつきましたが、副業でライターをされている方、したい方が多いということ。そこで今回は、商業雑誌におけるアンカーと呼ばれるライター業務についてお話しします。あくまで個人的な主観もありますが、参考になれば幸いです。

アンカーライターとは何か?

アンカーとは、現場に行かず、レイアウトやコンテでライティングするライターです。

媒体によりますが、雑誌だとおおよそ1ページ単価が5.000円〜2万位でしょうか。20ページもやれば、完全な自宅であり、うまく定期的な仕事があれば、フリーランスでとしてできる仕事だと思います。昨今の不況で雑誌のギャラ相場は全体的に下がっていますし、案件にもよりますが、Webライティングよりもまだ相場は少し高いかも知れません。

アンカーライターの仕事内容。

編集が何を伝えたいのか、主旨やポイント、そして媒体のカラーを判断して書いていくのがアンカーライターの仕事です。

ファッション誌には多い仕事形態かと思います。月刊誌ともなると締め切りもあり、どうしても慣れている人にオファーしていますが、ただ慣れているだけで、絶対この人に! という方はごくわずかです。なので、アンカーをやりたい人はわりと狙い目の仕事かも知れません。

ここができる人ならアンカーで指名が来る!

ぜひこの人にと思われるアンカーライターとはどんな仕事をしているのか? そこを書いていきます。

その1.誰にでもできる部分の正確さ。

クレジットの入れ方の法則は媒体により異なりますし、文字の漢字の使い方も異なります。そこが出来ていると、それだけでありがたいです。

自分の書いた雑誌は送本されるので、それを見れば、どこを直されているのかが1発で分かります。商業雑誌はライターに赤戻しをせず、編集が段階を踏んで、何度も直してしまうことが圧倒的に多いので、ライター側は自分のどこが修正されているのかわからない人がとても多いと感じます。また、見直さない人も非常に多いです。

この、編集が修正しなくていい文章は、本当に基本のきです。ここは文章の上手い下手ではない所なので、誰にでもできる復習です。次のオファーで直っていると、きちんと修正箇所を見て直してると分かるので、また依頼したくなります。逆にいつまでも自己流の人は、こちらがオファーするときに二番手、三番手となっていきます。

その2.テスト付き! 見えない部分の描写ができる。

例えばファッションの場合ですが、興味のある人は試して下さい。

Q.モデル画像は白いシャツ、デニム、黒のヒール、グレーのバッグを持って笑顔で立っています。背景は青山あたりの道抜け。これを17w×4ラインでファッション的に説明して下さい。

あなたならどう説明しますか? よくやってしまうのが、見えているものを描写すること。これがダメな文章の例です。

↓↓

「白いシャツにデニムのシンプルなスタイルに黒ヒールを合わせて。グレーのバッグをラフに持てば今っぽいスタイルに。」

⇨ダメな理由。写真を見れば全部分かることが書かれているから。これよくやってしまうことですし、文字制限の中では仕方ない場合もあります。

読み手が知りたいのは、だからどうなの?というその先や見えない情報です。文字数制限の中で、見れば分かることが書いてあるのは最も不必要な情報です。

的確な文章例 

↓↓

「ウォッシャブル可能な白シャツは、プレーンなデニムとも合わせやすい。スエードの細ヒールでカジュアルすぎないスタイルに。トーンを合わせたフェンディのピーカブーなら大人の休日スタイルを底上げしてくれる。」

文字数オーバーかもですが、このように

⇨シャツの情報やその合わせるボトムの情報提供。なんて事ないコーデにスエードのヒールがいいんだ。確かにトーンは合ってるからシックだ。これフェンディなんだ。そして、このスタイルでオフィス街じゃない背景なので、休日コーデの提案となっている。

というコンセプトにあった情報が書かれていることが大切です。

このコーデがスタイルアップ企画なら、なぜこのスタイルがスタイルアップできるのか、

プチプラ企画ならどこがコスパよく買うべきポイントなのか、

フェンディのタイアップなら、フェンディのピーカブーを主役にしたそれを引き立てるコーデの一例は何か、

など、テーマへの見極めが大切です。この見極めは編集との電話やメールでの打ち合わせ、そして設計図ともいえるコンテに沿っているかが重要な課題です。

その3.わかってる!と思わせる文字数合わせ。

雑誌は文字数との勝負です。その枠内におさまっていると、できる! と思います。17×4Lなら最後の行の17ワード中、10ワード以上の文字で収めて納品してくれる人は、大抵元編集かなあと思いつつ、わかってるなと思わせる効果があります。

例えば、17×4Lなので、68wで書いてくる人もいます。確かに68wですが、組になると、点や丸、それに感嘆詞や欧文により、行改ポイントが変わるので、これでは下書き段階を貰ったのと同じことです。

媒体により提出方法は違うかもですが、ボックス内に文字を入れ込む形式のデザインなら、文字数で渡す方がノーマルかと思います。

ちなみに文字数オーバーが多い人、文字数が足りない箇所が多い人は、その理由がない限り、リライト能力がなく、適当な仕事だなと判断されるので要注意。

その4.締め切りを守ることは超重要!

これが出来ない人が多いんです。そして許されます。外部の人なので遅延したからと叱ることとしません。そのかわりもう使わないと決めます。ただ、他に適任がいなければ、また依頼するしかありません。これは進行がズレるため、非常にストレスの高い問題です。

あまり知られていないかもですが、納期が守れないライターは、クオリティが低いよりもマイナスです。クオリティが低い方が、編集自身が時間を割いて直せばなんとかなります。

もしアンカーを目指したい人がいたら、この項目は覚えていて損はないはずです。

さて、ここは悪い例をメインにあげてきましたが、そのことで欲しいアンカーの条件が浮き彫りになりました。

・表記を的確にする。
・企画で言いたいこと、読み手が知りたいこと文字に起こす。
・文字数を守る。
・納期を守る。

たったこれだけ。文章を書くことが好きな人、それを仕事にしたいと思う人なら比較的、低いハードルでクリアできることではないでしょうか?

アンカーライターの需要は増える!

日本語なら誰でも書けますし、ライターに資格はありません。なので沢山の人がライターを副業からスタートするのも納得です。

特に副業でおすすめのアンカーライターという仕事はこれから、Web媒体含めて増える業種なので、これらを覚えていると、クライアントに対して価値ある存在になれることをお約束します。

+アルファで名指しの仕事がくるコツ。

上記以上に、+アルファのあるアンカーライターならば、取り合いになります。

それは、

・下調べをしてくれる。

⇨そのアイテムをネットで調べて(デジタルリリースと言います)、こちらがお願いした以上の内容を添えてくれる。

・分かりやすい言葉で書いてくれる。  

⇨ファッションなら、エシカルでハイエンドなコーデ。などファッション用語が連なる文面は一部のモード誌だけ。ファッション用語を知らない読み手の方が多いので、これを多用するのはオススメしません。

美容も同様。読み手が、自分で試したらこうなる、と納得する言葉で書ける人が強いです。美容用語が連なるテキストは、意味が分かりにくいなあと思ってしまいます。

意味のない抽象的な言葉は不要です。具体的な言葉の方が刺さります。

・こうだからこう、と説明できる文章が書ける。

⇨これは上記で説明した通りですが、できない人が非常に多いです。どんな短い文面でも、結を落とし込む意志が見えると嬉しい。

これにつきます。

アンカーは撮影現場にいないので、設計図と補足の資料だけで書かなくてはなりません。なので、把握能力の高い人は、特に向いていると思います。

どんなにうまい人でも、どうしても的外れな文章やキャッチが多いことが2.3あります。

また、ページが進むにつれ、語彙が足りなくなり、力尽きた文章になる人も多いです。それはヒューマンエラーとして想定内のため、そこを直すのは編集の仕事となるので、完璧である必要はありません。

とにかくお金をもらって書くこと。

アンカーに限らず、商業ライターはとにかくギャラをもらって書くことで確実にスキルアップできます。裾野が広い分、お金をもらって書く仕事を沢山受けているほど、プロ認定されます。

ただ、ブログやSNSで好きなことを発信して稼いでいる人はとは大きな違いがあります。商業ライターは好きなことを書けず、意見を盛り込むこともほとんどありません。

たまに、書くことが好きなので、ただで書くのでお願いします、と売り込みがありますが、仕事内容が、ブログやインスタでPRしているという人にライティングは頼めません。

ブログやInstagramでその人の知名度があるなら、その影響力でできることをお願いすることの方が多いです。

好きなことなら、誰にでも上手に書けるんです。編集はそこにライターの価値は見いだしません。どんな媒体でも内容でも、お金をもらって書いている。これが重要です。特に、雑誌は一度出ると修正できないので、より場数を踏んだ人に重きを置きます。

好きなら誰もが挑戦できる仕事。

ファッションや美容などの雑誌は、専門的な知識がなくてもできます。もちろんある方が優勢かも知れませんが、マストではありません。学歴も容姿も年齢と性別も関係ありません。スタートは好きか嫌いか、これだけでできます。なので間口の広い仕事だと思っています。私は雑誌のアンカーライター、そしてもう1つのライターと関わることが多いので、なにかの参考になればと思い、書いてみました。

上記のことは、Webライターだと違うかも知れません。アナティクスを考え、よりキャッチーな文字の作成、あとは圧倒的な企画数、誤字脱字が後から修正でき、さらには文字数制限もゆるいと思うので、スピード感が求められそうですね。

1文字いくら単位の仕事でも、1企画まとめて書いた仕事でも、どちらも自分の時間を割いて書いた報酬です。職歴として書けると思います。

さて、次はもう一つのライター編を書こうと思っています。

ライター編の予告!

アンカーライターとは違う仕事の面、フリーランサーが多い理由を書いていきます。アンカーよりも、ライターのイメージが強い内容になると思います。










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