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22歳の大学生が出口調査をやって、見た景色


●そもそも


〇「出口調査」のアルバイトってどんなことをするのか


まず派遣会社(テレビ局からの依頼を受けているから)に行き、必要な機材を受け取る。選挙の当日には指定された場所に向かって、決まった時間の間、選挙会場の出口に立って投票後の人にタブレットを渡し、質問に答えてもらう。


〇勤務時間と待遇

扱いは業務委託。

朝7時から夜18時までの10時間(1時間は休憩)。
時給は1550円で、交通費が4000円、
事前研修も同等の時給がもらえる。
つまり、当日だけで2万円もらえることになる。

服装は「万人に嫌われない服装」といわれており
固すぎず緩すぎない私服で参加した。

●感想


〇楽しかったこと

「私もね、前、このバイトやってたの」
と行ってくれるおばさんも
「いいですよ~協力させてください」
と明るいお父さんも
何回もちらちらとこちらを見て、
回答したげなお姉さんも
「良い経験になるから出口調査やってこい」
と娘に勧めるお母さんも

いろんな人がいた。

「お兄ちゃん頑張ってな」
と声をかけてくれるおばあちゃんもいて、
そういった時は嬉しかった。


SNSを開けば
「期日前投票行ってきた」と新聞に出ている後輩も、
「選挙行ってきた」とストーリーに流れてきたり、
政治に関わっている友達がいたり、
国会議員との2ショットをあげる友達もいて、
同年代で若者の政治意識を変えようと活動している方がテレビに出ていたり、
いろんな人を見た。それが同年代だってことも。

あ、また若い人だ。
一日選挙会場にたっていたからこそ見えた景色だった。
意外と選挙にみんな来るんだなと思った。


けれども、やはり、
70歳以上方が多かった。
人口のボリュームゾーンも投票をする人も。

過去最高の期日前投票で
過去2回よりは投票率が高まった今回だったが
まだまだなのかもしれない。


〇つらかったこと

1時間で30人からの回答を集めないといけない
数値的プレッシャーと、
回答を断わられる精神的ダメージがあった。

やはり、何回か連続で答えてくれないことがあるとつらかった。
肌感、10人中5人くらいしか答えてくれない。
(忙しかったり、タブレットになれていないからだったり。。。etc)


「タブレットの使い方分からないから答えるのやめるね」
というおばあちゃんには
代わりに打ち込むから、協力してほしいと伝えたり、

「質問いくつくらいあるの?」
というおじさん方には、
「性別と年齢とか聞いていて一分くらいなんです」と障壁を下げ、

「こんにちは。お忙しい中すいません。投票を終えた方ですか」
と言い切る前に走り去ってしまう方には
「こんにちは。〇〇テレビなんですが、出口調査やってまして」と要件を先に伝え

家族連れで早く帰りたいオーラをまとう人には
「今、女性の回答が不足してまして、ご協力いただけないでしょうか」と伝えてみたり

ひたすらPDCAを回し続けた。
案外、こういうのも楽しかった。

●出口調査の意義について


今回の出口調査は、各局負けた。と思っている。
なぜならどこも「自民党の議席数予想」を大幅に外したからだ。


思うに、出口調査に協力してくれる人の特性がある。

出口調査は、あくまで「協力してもらう」ものだ。
有権者の「投票」は国民の権利であり、責務でもあるのだが、
メディアの出口調査に応じる「義務」などは、もちろんないのだ。


「なんで投票先を教えなあかんの」
「いいたくない」という方も多い。

出口調査に協力してくれれば嬉しい。
けれども、
協力してくれない人に文句を言える立場ではない。
さらにメディアに対して好意的な人ばかりではない。


「いいですよ~答えますよ」
「政治を変えるために一票いれました」
と答える人には、

「政治意識が高め系な人」「政治意識が高いことをアピールしたい人」がいるのだ。


出口調査に協力的なリベラル系がいる一方で、
自民党支持層の中には「マスコミにつきあってなんかいられない」という有権者もいる。

そして自民党支持層には「特段、声を上げることなく粛々と投票する」人も多い。
いわゆる〝サイレントマジョリティ〟である。

彼らは出口調査に協力することもあるが、
敢えて自分の投票先をメディアに教える必要もないとも考えている。


まさに、アメリカの大統領選挙みたいだ。


私の大学の教授は
「人はマジョリティ側だと安心する。
今回は自民党支持が減ったという報道があって
積極的にいえなかったのかもしれないね」と。



また来年には参議院選挙もあり、
出口調査のありかたを再度確立できるかどうかに
各局の手腕がみられそうだ。

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