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君はどんな夢を語るのだろうか。で終わる小説みたいな話



12月31日。
「今日、何時に帰ってくるの」という電話で目が覚めると、今日が2021年の終わりであることに気づく。昨日までおせち作りのバイトを朝から夜までしていたことで両うでと足が筋肉痛で、帰省のための準備をするのもおっくうでためらわれてしまう。外は雨でsmartnewsで天気をみると、もう少しで雨がやむみたいなので安心する。テレビをつけるとどこも特番で、今年売れている芸人がそろい踏みしている。インスタを開けば、みな楽しそうで家族と過ごしている人が多い。外に出ると風は冷たくて肌を刺すが、先週雪が積もったことを考えるといくぶんかあたたかい。

私はどうしても今年1年の振り返りをしなければならないという衝動にかられ写真フォルダを見返し、SNSで保存したりいいねをつけていたものを見返す。「今年1年はどんな年だったか」を自問し、ああでもないこうでもないと書いては消し書いては消しを繰り返し頭をひねっている。そうこうしているうちにまた眠気が襲ってきた。



「なんか面白いことないかな」
あー眠れない。時間だけが溶けていく。たいした用もないのにだらだらとスマホを触り続けている。そんなことだめだって分かっているのに、それにしてもすることがなさすぎる。「寝たい」と思えず、気づけば深夜3時を回ってしまっている。次の日は起きれず後悔する。毎回「こんな生活リズムじゃだめだ」とノートに書いているのにできない。そんな意志の弱さを嘆く。
来年から社会人というのに、本当にやっていけるのだろうか。いや、それでも一人暮らしにとって夜は孤独だ。スマホからの光と音がなければ寂しすぎる。友人は「はやく寝れば良い」とか、好きな作家は「孤独には勝てない。だから飼い慣らせ」と教えてくれた。孤独はどこまでもついてくる。だから自分なりの対処法を持つことが大切なのだろう。
これでも一年生の頃と比べると一人の時間を大切にできるようになった。大学に入り、周りの才能に絶望し、大学ではぼっちと化し、逃げていたことを思うと。

あーそうかこれは成長の記憶か。


「うわーこの人と最近会ってないな」
前まであんなに仲良かったのに、自分はなんでこんなに人を大切にできないのか。SNSでの動向はチェックしているし、「会おう」と思えば会える距離にいるのに。それでも友人は「会えなくなったとしても、心の中で生き続ける」と言った。だからこそ「目の前の人を大切にして」と続けた。
きっと誰かの心の中で生き続ける時に、美しい記憶の方がいいからだろう。そういう知恵だ。

これは毎日自分に言い聞かせていた言葉だ。


年末にかけて「今年はどんな1年だった?」と聞きまくっていた。
コロナ禍の大学生活最後の年。「鬱」だとか「病んでた」という人もいた。それはきっとコロナのせいだ。まーそういった負の記憶は2021年に置いて2022年にいこう。「幸せな家庭にする」といって結婚した先輩も「もっと挑戦すればよかった」というバイト先のおばちゃんも「何もできていない」と嘆く大学生もいた。人生は1人1人が主役で、だからこそ輝いているのだろう。


そんなことを思う12月31日の夢の中。

君はどんな夢を見るのだろうか。
君はどんな夢を語るのだろうか。

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