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こんにゃくの愛され方が間違っている

こんにゃくが気になる。「好き」までいかない。地味キャラだけど周りのどの子ともちがう存在感があって、なんだか気になってしまう。

曲者的な女子、じゃなく食材だ。この季節、おでんの鍋でついつい探してしまいませんか?

そんな気になる「こんにゃく」の衝撃的な記事(自分比)が目に入った。こんにゃくの需要というか人気が低迷しているというのだ。

そう言われれば、こんにゃくって元もと地味なのに、最近さらに存在が薄いかもしれない。映える食材ではないからなのか。

そこで、こんにゃくの聖地、群馬県の業界団体が初めてネット上で消費者アンケートを行い「改善点」をたずねたところ「においが苦手」という回答が最も多かった。

業界団体は「強い危機感を覚え、消費者ニーズに応えるため、においを抑えたこんにゃくの開発に取り組む」という。

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え、ちょっと待ってほしい。これ一見、正しいことをちゃんとやろうとしてるように見えるけれど、決定的なところがズレている。

においを抑えたこんにゃくが商品化されたからといって、じゃあ消費者が喜んでこんにゃくを買いたくなるかというと、それはないんじゃないか。

問題解決とかマーケティングでよくある「コインの裏表」をやってしまってる。コインの裏表とは、コインを裏返すように手っ取り早い対処を「解決」と思ってやってしまうことだ。

こんにゃくを多くの人が買わない、食べない真の問題は本当に「におい」なのか? という問いが抜けてるのだ。少なくともこのニュースからは読み取れない。

べつに群馬県のこんにゃく業界団体団体を揶揄してるのではない。むしろ逆。こんにゃくが気になってる、なんならこんにゃく料理が好きかもしれないからこそ、その解決アプローチが疑問なのだ。

これはアンケート調査でよくある罠というか、バイアスだと思う。

詳細な設問、アンケート設計が見られないので推測だけれど「こんにゃくの消費をもっと増やすにはどんな改善が必要だと思いますか?」という質問で、なおかつ選択肢から複数回答してもらった場合こうなるんじゃないか。

・そもそも、こんにゃく需要が低迷している前提で回答者が要因を想像したとき「におい」は、自分が買う買わないに関わらずマイナス要因としてイメージしやすいから(キャリーオーバーのバイアス)においを改善と回答する
・「料理しやすさ」「ヘルシーさのPR」などの改善を回答で選んだときにも「におい」が改善されないと大事なことを見逃している気がする(一貫性バイアスやアンケートの目的を推測するバイアス)


まあ、これは僕が勝手にイメージしたものなので正確性はないけれど、そんなに外れてはない気がする。

そもそも、こんにゃくは好き嫌いの次元というより、好きでも嫌いでもない人のほうが多いかもしれないのだ。

好きでも嫌いでもないものを動かすのって難しい。それに、こんにゃくの立ち位置としても「100人中100人が好き」と言ってくれるぐらいすごく好かれたい」と思わないだろうし、多くはないけれど「嫌いじゃないよ」と言ってくれる人たちに愛されてるほうが幸せなんじゃないかと(勝手に)思ったりもする。

いや、業界団体の人は真剣にこんにゃくを愛しているのは、そのとおりなんだと思う。だからこそ、強く愛する方向に引っ張る(においレスなこんにゃく開発とか)じゃなく、もっとこんにゃくらしい愛され方を具現化してもいいんじゃないのかなと思う。

じゃあ、こんにゃくらしい愛され方って何なんだ? と考えると、やっぱり地味キャラのこんにゃくはスッと思考の陰に隠れてしまうのだけど。