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もっとそのままの言葉を使えたら

《社内研修のため10月1日を全店休業させていただきます》

ある小売チェーンの貼り紙。ああ、そうかと思った。あれだよね。消費税10%に切り替えのための、なんやかんやの作業だ。

これ、軽減税率対応も加わって地味に現場は大変なのはあちこちで見聞きする。

貼り紙のチェーンでは、いきなり切り替えでトラブルよりは諸々損失わかった上で「休業」して移行する選択をしたのだ。個人的には「あり」だと思う。オペレーション的にも。

なんだけど、何か引っかかったのは「社内研修のため」の表現。いや、知ってます。社員旅行を研修って言うのもそうだけど、そうしないと面倒くさいお客さんもいるのだ。そこは空気読むけど。

息するように言葉を扱ってるからか、そういうのが気になってくる。ちっちゃいことといえばそうなんだけど。

いや、ちっちゃいことだからほとんどの人が気にも留めないし、そこにしれっと大事なことが紛れ込んでたりするから。

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消費税対応の話。実際、現場は大変なのだ。堂々と「消費税対応のため休業」でいいじゃん。それをなぜそのまま使えない空気なんだろう。

本当の言葉を使ってない、使えないことが当たり前になってるのが口に透明なマスクをみんなで着けてるようでもやもやする。

これって消費税対応の話だけじゃなくて、世の中いろんなところで同じようなことが「言えない」「言いづらい」になってると思うんだ。

そのまま言わないのが日本人なんだとか、謙遜とか忖度とか婉曲とか何でもいいけど「本当に思ったこと」なら、もっとそのまま表現してもいいんじゃないか。

そこに対して怒られが発生したりクレームぶっ込んだりするのがやっぱりおかしい。

直接的に言葉にしたりすると、傷ついたり悲しんだり怒る人もいるから。

よくそう言われるけど「本当のこと」を感情的でも揶揄するわけでもなくちゃんと伝えて、その本当のことと向き合わずに相手に逆ギレするのは対象と課題の分離ができない問題のほうが大きい。

厳しめに言うと「傷ついた」とか「怒り」を前面に出してれば課題と向き合わなくて済むから無意識にそうしてるんだよ。

「消費税対応のため」「逃亡ハムスター全力捜索のため」とか本当の言葉をそのまま使えて「そうだよね、それならこうしたら」とか建設的に話せる世の中のほうが健全な気がするんだけどな。