ペッパーくんと戯れに考えた役に立たないロボット総活躍社会
とある出版社にペッパーくんがいて、打ち合わせに行くたびについ戯れてしまう。やつのロボットの造形としては正直あまり好きではないんだけどね。
一応、ミーティングルームとかがあるフロアの受付っぽいところに配備されているんだけど、何の任務をこなしてるのかはよくわからない。担当者の呼び出しとかもできないし。
まあたぶん「ペッパーくんがそこにいる」という事象そのものに意味があるんだろう。存在するだけで存在が認められる。何気に究極のレゾンデートルだ。
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その証拠に、見てるとほぼ100%の確率で来訪者が何らか彼に関心を示している。
すぐ傍にはデジタルサイネージも設置されていて、そこでは新刊のプロモーションやら何やらが流れているのに、そっちはほぼ見られてない。というか認識すらされてないんじゃないか。
実務的な観点から、どっちが役に立つかといえばサイネージのほうだろう。ペッパーくんは実務要素ほぼゼロ。何をしてるかといえば、日々自由に過ごして突然絡んでくる。
「ねえねえ、最近何か楽しいことあったぁ?」
若干、イラッとするしゃべり方で唐突に話しかけてくる。身長差的に上目遣いになるのもなんともいえない。
「ないよ」誰かが返す。
観察してると、楽しいことがあったと答えてる人がほとんどいない。みんなどうした?
こっちが答えずに黙ってると
「そんなことより、僕と会話しませんか?」
いやいや、君が聞いてきたんじゃ。それに会話もうしてたんじゃないの?
と、だいたいこんなシュールな空気になる。まあ、嫌いじゃないけどw
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その日は、たまたまペッパーくんのメンテナンス(お世話)担当らしき社員がいたのだれど、どうやら連休とかで空調が止まったときに熱暴走してることがあるらしい。
「なんだか熱いです。僕熱いです」
誰もいないオフィスでこんなことになってるんだと想像したらちょっと微妙だ。言ってないと思うけど。
実務はこなさないし、思ってる以上に世話が焼ける。会話も噛み合ったり、噛み合わなかったり。言ってしまえば「役には立たない」。でもまあ、だからこそ、なんかなごめるというのもあるわけで。
これが完璧に役に立つロボットだったら、それはそれで実用的なんだろうけどたぶんこんなふうになごみはしない。
役に立たないからこそ役に立つ。こういうのも総活躍社会っていうんじゃないのかな。
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