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ヴェネツィアの町にあふれるバラの花

 11月25日の今日、ヴェネツィアの友人から、あふれんばかりにバラの写真がSNSで届いた。

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 赤や白、ピンクにパープルと色とりどりのバラはニットの手編みで、ヴェネツィアの水面や建物を背景に、橋の欄干や手すりに結びつけられている。色や形が少しずつ違って、愛らしいそのバラにはよく見ると1枚のカードが添えられているーこんな文字とともに。

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「Centro Antiviolenza #1522 」。

 この「チェントロ・アンティヴィオレンツァ(反暴力センター)」というのは、25年前からヴェネツィア市が運営する、主にDVなどに苦しむ女性たちを保護する施設で、必要とあれば、そうした女性たちが子供も連れて避難してくることができる場所らしい。 18世紀の初めに、協奏曲「四季」で知られる作曲家アントニオ・ヴィヴァルディが、孤児らを教育する音楽指導者を務めたピエタ養護院が今でも、生活に様々な問題を抱える女性たちの保護センターとして残っているのだが、市のそうした施設もあるとは知らなかった。
 このバラとカードはつまり、必要な人が手に取って持ち帰り、あるいはメモをして使ってくださいね、ということなのだろう。「1522」はセンターのフリーダイヤルの番号で、1日24時間、365日応答している。

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 水上バス乗り場から水飲み場、排水管から門扉・・・歩いているうちに、お店のウィンドウの中にもバラ発見!どうやらほんとに町のそこここに、バラが花開いているらしい。

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 そして、ヴェネツィアお約束のオンブラ(立ち飲みグラスワイン)のその向こうにも・・・。

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 ローカル紙、Venezia Todayのオンライン記事によると、現在、センターに保護されている女性は221名。新型コロナウィルスの感染拡大とそれに伴うロックダウンで多くの人が、男性も女性も自宅に引きこもることになり、残念ながらその期間中に最も、保護を求める女性が増えたという。女性が被る暴力は、現在の夫やパートナーによるものが6割以上を占めるが、2割近くは元夫や元パートナーであるという。ここでいう「暴力」とは、肉体的なもののみならず、精神的、または経済的なものも含む。
 
 11月25日は「女性に対する暴力撤廃の国際デイ」。
 このバラの花たちが、一人でも多くの女性の救いになることを心から願う。

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 ヴェネツィアでは、4月25日、守護聖人サン・マルコの記念日に、男性が愛する女性にバラの蕾を一輪、プレゼントする風習がある。11月25日に町中を満たすバラも近い将来、愛にあふれるバラになるといい、と思う。

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#ヴェネツィア #イタリア #11月25日 #エッセイ #女性に対する暴力撤廃の国際デイ #ニット #バラの花咲く
Fumie M. 11.25.2020

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