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人肉は鶏味?『フレッシュ・デリ』

 ここはデンマーク。勤務先の意地悪な店長ホルガーの精肉店を退職したスヴェン(マッツ・ミケルセン)とビャン(ニコライ・リー・カース)。二人が開業した精肉店の評判のマリネは作品中に映らないので味や香りや見た目の想像力が掻き立てられます。

原題/De grønne slagtere(2003公開) 米題The green butchers(2005公開)95分
監督/脚本 アナス・トマス・イェンセン
スヴェン/マッツ・ミケルセン
ビャン/ニコライ・リー・カース
ホルガー/オーレ・テストロップ


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スヴェン(マッツ・ミケルセン)

両親がおらず、自他共に認める「汗っかき」。前髪が後退しかかっており、自分の容姿を含めて人に愛された経験がないコンプレックスの塊のような男性です。コンプレックスが強すぎるあまり他人の評価を気にしすぎて悲観的な思考に陥ってました。
 精肉店を開業するまでは。

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ビャン(ニコライ・リー・カース)

 両親がおらず精神疾患で入院中の双子の弟がおり、あまり仲がよくありません。家に帰って動物の死骸で骨格標本を作るのが趣味です。仕事に対してスヴェンほど情熱もなく、欲もなく多くを望まず淡々と時を消化して生きてました。
 彼女が出来るまでは。

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 スヴェンは人に愛された経験がないながらも、妻のティナに対して関係を修復しようとしたり、独立して精肉店の開業を決断したり、マリネ液を作ったり、何かと努力を重ねてて苦労人だなぁと思いました。
 結果的に行列の出来る店になったのは多くの苦労を乗り越えて努力してきたからなのですが、証拠隠滅のためにやむを得ず人肉で作ったマリネが評判になり「人に愛されるものをつくりたい」スヴェンが殺人を繰り返す様子がいじらしくて愛おしくなりました。なかなか憎めないところがあります。
 不遇な過去を告白しながら泣いたり汗をかいたりして、人に喜ばれる嬉しさを語るスヴェンが健気で泣けまました。



決してカッコよくはないけど、不器用でいじらしいマッツ・ミケルセンも見てみたい人におすすめです。
私はマッツがますます好きになりました。


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出典: SAVEUR (写真にリンクあり)


 この作品では人肉のマリネをチキンのマリネとして売っていましたが、北欧というとサーモン・ニシン・ジャガイモ・豚肉・スモーブロー(オープンサンド)といった乏しい知識しかないのでチキン料理と言うと、今一つ感得するものがない私です。
 スヴェンとビャンのお店のチキンマリネの味に思いを馳せつつつ、デンマークの伝統料理「Smørre­brød」スモーブロー、いわゆるオープンサンドイッチについて調べました。
 北欧映画を見ながらぜひ食べてみてください。簡単です。

スモーブローを作るときの重要なポイント 
 出典を調べてみたところ、パンの上に具を乗せるオープンサンドイッチですが、北欧では主に酸味のあるライ麦パンrugbrødが使われるようです。
 パンにはバター、グースファッド(ガチョウの脂肪)、マヨネーズ、クリームチーズ、などなど様々なスプレッドを塗ることでパンが具材の水分で湿るのを防ぎます。ここで脂肪分を足すことが重要です。
 あとはサーモンやエビ、タマゴやイクラ、野菜にハムや肉などお好みでのせてフォークとナイフで食べればいいようです。

 スモーブローはとても美しい盛り付けの写真がネット上にたくさんあるので参考になりますし、見た目にも楽しく美味しく出来上がります。 

 フレッシュデリ 写真出典:IMDB




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