「ソクラテス以前の哲学者」 廣川洋一
講談社学術文庫 講談社
読みかけの棚から
読みかけポイント:気になる哲学者をぱらぱらと
アリストテレスとペリパトス派の見取り図
今日読んだところでは、ソクラテス以前の哲学者といった場合にソフィストを含むか含まないかに、これまでの研究で相違があったこと、ソクラテス以前の哲学者の著作自身は失われているものが多く、研究者はそれを伝える他の哲学者等の(もともとの言説に対する)影響も考慮に入れなければならない、というところ。
この「伝える」役割を一番したのがアリストテレスそしてその弟子ペリパトス派の人々。アリストテレスは彼らを「自然学派」と呼び、ソクラテスまでは人間自身についての考察はされてこなかった、という立場をとるが、自然学以外の考察も多くされていて、ギリシャ哲学の見取り図的に利用されるアリストテレスの考えも再考されなければならない。
(2011 04/11)
同じ河には一度も入れない?
ギリシャ哲学のうち、ソクラテス以前の哲学に凝って?いる。アナクシマンドロスとかヘラクレイトスとか面白そう。注意しなければいけないのは、彼らの元の著作は散逸していて、結局他の誰かの著作に引用されているところから引っ張ってくるしかない、という点。そこでその引用した人物の視点がどうしても含まれてしまう。まあ、そういう仕掛けの文学が好きな自分には「一粒で二度おいしい」?ということになるのだが…その引用者で一番なのはアリストテレスらしい。
標題はヘラクレイトスの有名な…ん、ちがうぞ。ヘラクレイトスのは「二度と」だったはず。 これは実はヘラクレイトスの弟子の…えーと、名前は…忘れた(きっぱり)。「一度も」ってことは全く入ってない…弟子なのに師匠とは正反対に突き抜けたような… で、重要なのは、名前を思い出せないこの哲学者に若い頃に心酔していたのが、かのプラトンということ。なんだか楽しいね。
(2011 04/12)
(補足:この弟子?探してみたけれど、本の中ではまだ見つけていない・・・ウィキペディアなどで探してみたら、どうやらクラテュロスらしい。プラトンが心酔していて、その後「クラテュロス」という対話篇を書いたという)
別格のアナクシマンドロス
今日はミレトス学派3人を。でも、やっぱり?アナクシマンドロスだけ別格扱い? 哲学や自然学だけでなく、地誌学や歴史学それから生物学なんかにも目が向いていた人みたいで、断片には人間の幼児が、他の動物よりも未熟で産まれるため保育期間が長いなどという指摘もあり。今の人類学・発達心理学etcの基礎的な認識がされている。
例の「無限なるもの」は「カオス」的要素より「コスモス」的要素が大きいという。昼夜の交代とか、そういうものがある秩序にのっとっているとか。
(2011 04/18)
ソクラテスの重要性?(妄想)
…前読んだ「多神教と一神教」では、ソクラテスが書き言葉を疎んじていた…らしいとか、それを書き残した?弟子のプラトンの著作の後半はプラトン自身の思想でありソクラテスそのものではないとか、ソクラテス以前の哲学者は書いたものをたくさん残している(と、伝えられている)のに、なにゆえソクラテスのみがとか、デルフォイの神託とかいろいろ… ギリシャのバートルビーなのかな?ソクラテスは。 そもそも、ソクラテスなどという人物は虚構だったりして? などなど、いろんな空想が浮かんで来る。
(2011 08/06)
魂の終端
「ソクラテス以前の哲学者」よりヘラクレイトスの断片をチラ読み。といっても実はかなり前のことだが(苦笑)、ここで少しまとめておこうかと。
ヘラクレイトスより。旅好き?、知識集め大好き?の自分にとってはぐさっとくる一言。でも、「規矩」(これで「ロゴス」と読ませている)がかなり重要になると思うが、第3文の始めの「それ」も何を指すかが気になるところ。普通は「魂」を指すのだろうけど、それ以外に何かが含まれている気が・・・ ともかく、旅立たないとするならば、どうすればよいのか。そこで、この断片が来るわけ。
それこそ、「魂の終端」にたどり着けそうにもない、と常人は考えてしまいがち・・・サルガッソーみたいなものではないかと。
(2011 11/04)