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「言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学」 西村義樹・野矢茂樹

中公新書  中央公論新社

認知言語学というのはチョムスキーの生成文法から分派し対決する中で生まれてきた。
一番の違いは生成文法が統語論を意味論や語用論とは独立に生成されるとしたのに対し、認知言語学では統語論、文法にも意味論や語用論が関わっていくということ。しかし従来の言語学に対しては、子供の頃からの言語獲得や新たな言語創造に重点を置くという共通理解もある。

プロトタイプ的言語理解(例えば「鳥」という語彙を、鳥のいくつかの性質により「これは◯、これは×」としていくのではなく、典型的鳥のプロトタイプをイメージし、そこからの隔たりによって緩やかに判断する)と、使役構文(「太郎が窓を開けた」というのも含まれる)のこれまた文法事項さえもプロトタイプで説明して、典型的な文との隔たりで考えるというのが面白かった。
後のメトミニーやメタファーになるとちょっとわからなくなってきたかな。巻末の参考文献は数は少ないけれど、丁寧なコメント付きでこれもいい収穫。
(2017  12/12)

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