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これからのスマホはAIに着目して選べ

スマートホームプロ集団X-HEMISTRY代表の新貝です。

今年もCESに行ってきました。
CESは2014年に初めて行ったが、職業柄そこからずっとスマートホームを中心に定点観測を続けているが、専門分野外で気づいたことをまとめてみたい。

ここしばらくは新しいスマホが出てくると、カメラの性能くらいにしか脚光があたってこなかった。
それが今後はどんなAIを搭載しているか、という流れになるんだな、と感じた。


CES2024のスマートホームに関する個別レポートはそのうち気が向いたら書いていこうと思うが、今回はGoogleのブースで気づいたことを記してみたい。

Googleは例年、普段屋外駐車場として使われている場所を展示会場として利用しているセントラルプラザと呼ばれる場所に、ショー期間限定のパビリオンを建設して展示を行っている(毎年めちゃめちゃお金をかけているなと感じる展示だ)。

少し前置きが長くなるが、ここ数年のGoogleの展示内容を振り返ってから本題に移っていきたい。

CESにおけるGoogleの展示内容変遷

2018年のGoogleパビリオン
2019年のGoogleパビリオン
2020年のGoogleパビリオン

2020年までは、写真にもある通り「Hey Google」というフレーズで知られる、Googleのスマートホームを中心とした展示が行われていた。

中に入ると、Google Homeのエコシステムに繋がっているスマートホーム機器がいろいろ展示されてて、こんなにたくさんの仲間がいるんだぜ、って感じで誇らしげに見せるスタイルが特徴だった。スマートホームでも競合しているAmazonも似たような感じで、たくさんの仲間がいるってことをアピールする展示スタイルだった。

2020年のGoogleパビリオン内部
2020年のAmazonブースにあったエコシステムパートナーを紹介する看板

ところが、パンデミックが開けた2023年のGoogleは拍子抜けするような展示内容で、単に音声アシスタントとしてのGoogle Homeの機能を主に紹介しており「何がしたいの?」という感じの展示だった。
(あまりにもつまらなすぎて、写真すら撮るのを忘れたレベルの内容)

なぜそんな変化があったのかと分析すると、CES 2023でスマートホームの目玉が「Matter」だったからだと思う。それまでのGoogleもAmazonも、めちゃくちゃ労力とコストをかけていろんなメーカーを巻き込んで、クラウド連携でエコシステムを広げてきた。
しかしMatterが登場して普及し始めると、接続性の問題はMatterが解決してくれるようになる。GoogleもAmazonもMatterの仕様策定の中心にいるから、これまでみたいにどれだけ多くの機器が接続できるかをアピールする意味が薄れてきたんじゃないか、と思った。

CES2024におけるGoogleの展示はAndroid

では、CES2024でGoogleはどこに軸をおいて展示していたかというと、なんと主役はAndroidだった。

ドロイドくんが手を振っている

「え?Android?!」と思いつつ足を踏み入れてみると、Googleが製造しているその他のハードウェア製品やGoogle WorkspaceにおけるAI活用事例、Android Autoみたいな展示もあったものの主役はPixel 8という内容だった。

今年も期待外れだな、と思いながらも展示内容を眺めていたが、Pixel 8のデモを触れているうちに「なるほど、AIをアピールしているのね」ということに気づき、触っているうちにいつの間にかPixel 8欲しいかも!という気持ちに変わってきた。

ちなみにPixel 8に搭載されたAIはこんなことができるので、動画で見て頂きたい。

英語の紹介動画だが、どんなことができるかご理解頂けたと思う。
撮影した写真から人物などのオブジェクトを選択し、ドラッグやピンチズームをするだけで写真を加工できたり、動画のバックグラウンドノイズを除去したり、ぼやけた写真を鮮明に補正したりができる。圧巻は動画の後半でカメラ目線になっていない人たちを強制的にカメラ目線にすることだってできてしまう。

ヤバい、帰ったらPixel 8を要チェックだ、と思い帰国後ネットを調べている最中、CESの直後にSamsungがGalaxy Unpackedというイベントを開催したことを知る。YouTubeでイベントの動画を見てまたもや度肝を抜かれた。Galaxy AIヤバすぎ。

さらに上をいくSamsung Galaxy AI

まず手始めに「Circle it」。この機能自体はAndroidの機能でGalaxy特有の機能ではないらしいのだが、画面上のオブジェクトを○で囲むとGoogleが検索をしてくれる。

知らない国の人との電話も怖くない「Live Translate」

こちらもチャットの翻訳機能「Chat Assist」、単なるチャットの翻訳だけでなくメールを書いたときの文章の文体まで変更しながら校正してくれる。

お次は反射を除去してくれる「Reflection Removal」

数々のAI補正に対応した「Photo Assist」

録音した音声をサマリーしながら翻訳してくれたり、閲覧しているWebサイトをサマリーしながら翻訳してくれたりする「Transcript Assist」

どこに旅行に行っても怖くない「Interpreter」、これぞ翻訳こんにゃく

最後に雑多なメモをいろいろな形で整理してくれる「Note Assist」


いかがだろうか。

CESに行きPixel 8に気持ちが傾いたが、今はこれまで同様Galaxyで行こうと決意している 笑。

ここしばらくは新しいスマホができてもカメラの性能くらいにしか脚光が当たらなかったが、これからは間違いなくAIの性能でスマホを選ぶ時代に突入していくだろう。

Appleも生成AIを準備中という報道も目に付くようになってきたが、競合がこんなものを出してきたいるのだからうかうかしていられないのは間違いない。
Androidユーザーではあるが、Appleのやる気にも期待したい。


著者 : 新貝 文将

スマートホームに特化したコンサルティングサービスを提供するスマートホームのプロ集団X-HEMISTRY株式会社の代表取締役。

2013年から東急グループでスマートホームサービスIintelligent HOMEの事業立ち上げを牽引し、Connected Design株式会社の代表取締役に就任。

2018年には株式会社アクセルラボの取締役 COO/CPOとして、SpaceCoreサービスの立ち上げを牽引。

2019年秋にX-HEMISTRY株式会社を設立。スマートホーム事業に関連するノウハウを惜しみなく提供する形で、多くの日本企業向けにスマートホーム事業のノウハウを伝授しつつ、数々のスマートホーム事業企画/立ち上げにも寄与。

リビングテック協会発行「スマートホームカオスマップ」の製作にも深く関わり、スマートホームのエキスパートとして日本のスマートホーム業界で認知されている。

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