出生と父親

なにか文章を書かないといけないなって思いながら毎日を鬱々と送っているんですけど、今日は何か調子が良くてそれっぽい文章を書くことが出来たのでここに放流したいと思います。最初は小説として書いてたので多少脚色がかかってますがほぼ自分の話です。

ある日バイトから帰ってきてテレビをつけると、生まれ育った島が紹介されていた。
「今若者の移住先として大人気の××島!」
ポップなフォントで強調されたそのテロップは僕にはどこか毒々しいなにかに見えた。
あんな島どこがいいのだろう。
移住したい。そう思わせるような魅力があの島にあるとは到底思えなかった。

僕はあの島で16年生きていた。
本土から高速旅客船で1時間半、フェリーなら4時間。
ちょうど東京から静岡位までの距離に僕の地元は存在している。
映画館やカフェなんてシャレたものはなく、あるのはレンタルビデオショップとカラオケだけだった。コンビニも個人営業で、名前も聞いたことないようなローカルなものだった。つい最近、そこがローソンになったらしい。
個人営業のコンビニがローソンになった時、島民達はこぞってローソンに並んだらしい。そのことが深夜のバラエティ番組で紹介されていた時、絶句した。共感性羞恥というやつだろうか。「警備員とか立ってたんですよ。」笑いながら凄いことでしょう、とでも言うかのようにインタビューに答える同級生を見ながら恥ずかしくなった。そんなことよく恥ずかしげもなく言えるな。
その同級生は高校卒業後すぐに市役所に就職したらしい。きっと同じように市役所に居る同じような生い立ちをした人と結婚してその子供も同じような人生を送るのだろう。
そういう人生を送っている人達があの島には大勢居る。

母はあの島の出身では無かった。
本土で生まれ、本土で多くの人生を送ってきた。彼女の父、僕の祖父はお金を沢山持っていたから、彼女はお嬢様だった。
お嬢様しか通わないような高校に通って、お嬢様しか通わないような短大に通って、卒業後は祖父のコネで入社した広告代理店に就職した。何の因果かその仕事先で僕の父と出会った。父は凄腕の営業マンだった。福岡の片田舎から現役で明治大学に受かって業務用のエアコンとかを売る、そこそこ大きい会社に就職した。やっていたこと自体は凄いことだったらしい。
らしい、というのは父は僕が産まれる前に母の前から姿を消していたからだ。
父は母に暴力を振るっていた。
小さい頃、父のことを母に聞いたことがあるが適当にはぐらかされ続けていた。
18歳の誕生日。成人年齢が引き下げられて、法律上は大人になった日にもう一度聞いてみたらそんなことを聞かされた。
それ以上のことを聞こうとするとその場にいた祖父母に止められた。どうやら父の話題は我が家でブラックボックス化しているらしい。
僕の人生に父親は居ない。顔も知らない。
父、というものがどういう存在で自分の人生にどう影響するのか分からない。ひょっとしたら再婚して別の人と子供を作っているかもしれない。
生きてるか死んでるかも分からないそんな存在を常に感じながら僕は生きている。

出生と父親についての話でした。
note初めて使ったんですけど引用しようとするとこうなるんですね。めんどくさい仕様だ。多分ところどころ文章を変えて小説になると思います。これ自体小説書く練習ですし。
以上、小説のような、実録のようなそんな変な文章を読んでくださり、ありがとうございました。さよなら。

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