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kindleと九龍城砦。

窓を開けていないに、机の前に座ると、くしゃみがとまらない。こんな時期だとくしゃみさえ、なんだか心配だ…と思っていると、部屋の向こうから母が、「あんたいつから掃除してないの!」と言った。

そうか、掃除をしないと埃がたまってくしゃみが出るのか。くしゃみの原因がウイルスでも花粉でもなく、埃とわかって安心したものの、いつから部屋を掃除していないのかという恐ろしい問題が浮き彫りになった。少なくとも今週は掃除機をかけていない。

正直に言うと、今週やっていないどころではない。自分で自分の部屋に掃除機をかけるなんて、年に数回しかしない。後は気がつかないうちに母がやってくれている。母が掃除をしたことは、埃の有無で気がつくというより、九龍城よりも複雑に積みあがった机の本やら漫画やらお菓子やらが、きれいに積みなおされていて初めて、「あ、なんか綺麗になってる。」と気がつく。

いい加減片付けが出来るようにならなとなぁ、と思いつつも、こうして勝手に片付いていると、ついつい甘えてしまう。見られたくないものもたくさんあるので、片付いた机を見るたびに、一体どこまでチェックされたのだろうという不安はある。中高時代の創作ノートなんて、見られたこっちよりも、見た向こうの方がダメージがありそうである。

片付けが苦手な理由に、「すぐ物を拾って来てしまう。」ということがある。

これは別に、道に落ちているものを拾う癖があるというのではなくて、古本や中古のおもちゃを買うことを「拾う」と呼んでいるのだ。これらの物は、行く前から買おうと思っているのではなく、大体が「買ってしまった」物。

無駄遣いとは意地でも言わない。無駄じゃない。全て出会いなのである。

そう、物を買うというよりも、道端にいる子猫を拾ってくる感覚。猫は、目があったら放っておくことは出来まい。だからこれは仕方がないのである。本も、おもちゃも、みんな新たな持ち主との出会いを待っているのだから。

暇な大学生になり、「拾う」頻度がさらに最近増えている。あまりに拾いすぎて、多頭飼育崩壊が目前となり、苦肉の策としてkindleを購入した。

これさえあれば、これ以上部屋が本で溢れることもないし、どんないかがわしい本だって心置きなく買える。

片付け問題も、母親チェック問題も同時に解決し、一件落着。とはいかなかった。

今まで部屋を圧迫していたのは、古本であり、本屋で買う新品ではなかったため、kindleを導入しても結果はあまり変わらなかった。

すかすかのkindleには、漫画が二冊だけ入っている以外は何も無い。最も使っている機能は読書リストという、欲しい物リストである。これでは、一万円弱払ってアマゾン用のメモ帳を買ったようなものだ。

このリストに入っている本も、早く買わないと古本屋で見つけてしまいそうだ。kindleを買わなければ、そのお金でもっとすんなり、本屋で新品を買っていたような気もする。



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