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石岡瑛子展@東京都現代美術館

先日東京都現代美術館で開催中の石岡瑛子さんの仕事を扱った展示を見てきた。自分のフォローしているインスタグラムのアカウントが「よかった。いくべき」と言う感想が多く、ポスターだけ見ていたら行かなかったであろう展示だったけど、行ってみることにした。もしかするとこれは誰かの集客のプランに乗っているのかもしれないけど。

その前日、銀座のggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)でも石岡さんの展示があったのでそちらでまず予習。と言うか、1日で2つも見たら消化しきれないと思ったので、分割して見にいくことにした。

gggに入るとき、入れ違いで出てきた若い女子二人が「とにかくパワフルだね」みたいなことをいいながら帰って行った。

会場に入ってみると、彼女のテーマカラーなのか、全体的に暗い中にも赤をメインとした展示。作品とともに彼女の言葉がスポットライトを浴びている。

私が幼かった頃、もしくはもう少し前くらいの時代のどこか懐かしく、暑苦しいくらい良い意味で人間臭い雰囲気を感じるデザインだなという第一印象。地階に進むと、彼女のインタビュー音声とさらに、パルコの広告を中心とした作品の数々。

入り口ですれ違った若い女性が言うように、パワフルで生命力の強い感じを確かに受けた。

さて、翌日は現代美術館へ。

昨日の余韻が少し薄れ、でも少し残っているというなかなか良い加減でもう一度石岡さんの世界へ。こちらもgggと同じように音声が会場内で連続して流れており、みなさんその言葉を聞きながら作品をみる。

銀座と清澄白河二つの展示で同じような音声の演出。これほど言葉や声自体が大事にされている展示もなかなか無いように感じた。

それだけ彼女の言葉というのは、作品と同じくらい訴えかけるものがあるんだろうな。

また、この語りかける声と生き方は特に今、光り輝いて見えるのではないだろうか。それくらい今は多くの人が強くて揺るぎないものにすがりたくなる気分にあるような気がする。

私にとっても彼女の言葉は眩しかった。命をかけてデザインで世の中に訴えていくべき!というような彼女の言葉を聞くと、私も端くれながら物づくりの仕事をしていて、「これしかない!」という思いで仕事にのぞめているか?と振り替えさせられた。

インスタグラムやTwitterでよかったと呟く人の多くは今の姿に立ち返った人ではないだろうか。

ただ、休みがあけて自分の仕事に戻るとちょっとクリエイティブとは程遠い雑用、メールの返信、急ぎの依頼、予定調整、同僚のフォローで1日は埋まっていく。クリエイティブなところで自分の意見を戦わせて命を削っていくのとはちょっと違うストレスに埋もれていく。

あの展示はきっとある意味そんな人たちのオアシスかもしれない。という考えがよぎる。

こんな感想を書いたら石岡さんはどう思うのだろうか。喝を入れられるのかしら。

取り留めもない感想になってしまったけれど、ある意味デトックスになる展示。まだ行かれていない方がいたらオススメしようと思う。

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