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アーリークロスに効果的な配置(横浜Fマリノスに見た、敵陣でのポジショナルな攻撃)

2020 J1リーグ 第23節
セレッソ大阪 vs 横浜Fマリノス

~横浜Fマリノスに見た、前線に人数をかけた攻撃~

 今回は、J1リーグ第23節に行われたセレッソ大阪vs横浜Fマリノスにおいて、セレッソ大阪の堅守と横浜Fマリノスのポゼッションの攻防が非常に面白かったので、2回に分けて分析していきます。
 今回は横浜Fマリノスのポゼッションを軸とした攻撃(敵陣での攻撃)から分析します。


スタメン(home : セレッソ大阪)

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(away : 横浜Fマリノス)

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結果 : セレッソ大阪 4 - 1 横浜Fマリノス
( 前半 1 - 0、後半 3 - 1 )


横浜Fマリノスの攻撃
(ポジショナルな攻撃)

① 陣形
 横浜Fマリノスは敵陣でのポジショナルな攻撃時、下図のような配置となる。
 具体的な特徴として、前線の相手ライン間に立つCFのジュニオール・サントス、トップ下のマルコス・ジュニオール、SHの前田大然(右)、エリキ(左)の4枚が、相手ライン間周辺のエリア(下図の赤エリア)で自由に動き回る。また、大外レーンにはSBの松原(右)、テーラトン(左)が立ち、中盤エリアにボランチの扇原と喜田が立つ。

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② プレー展開
 プレー展開としては、幅を使ってポゼッションを行い、相手の守備ブロックを左右に揺さぶった後、基本的にはサイドのエリアから攻撃する。

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③ ポゼッションチェンジ
 また、ポゼッションを行う中で下図のように陣形を保つようなポジションチェンジも見られた。

1. 前線のライン間に立つ4枚のうち1枚が大外レーンに移動し、陣形を保つようにそのサイドのSBがボランチの位置に、ボランチの1枚が相手ライン間に移動する。

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2. 前線のライン間に立つ4枚のうち1枚とボランチの1枚がポジションチェンジする。

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④ サイド
 マリノスはポゼッションを行いながら、最終的にはサイドから攻撃することが多かった。
 サイドのエリアでは、下図のように全体がボールサイドに密集して崩そうとする。ここで、逆サイドのSB(松原、テーラトン)は逆サイドのエリアに残り、アイソレート(孤立)する。また、ボールサイドの攻撃参加エリア(下図の赤エリア)では、ある程度陣形を保ちながら狭いエリアで相手を崩そうとする。

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 ここで、サイドの密集エリアで攻撃が詰まってしまった場合は、逆サイドでフリーになっているSBの裏へサイドチェンジする。

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 また、大外レーンの低い位置で受けたSB(松原、テーラトン)がアーリークロスを上げることも多かった。このとき、前線にはあらかじめ4枚(ジュニオール・サントス、マルコス・ジュニオール、前田大然、エリキ)が配置された状態であるため、アーリークロスに対してもペナルティエリア内に人数をかけることができていた

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 今回の横浜Fマリノスのように、4-2-3-1の前線の4枚が相手のライン間に入り込み、そのエリアで自由に動くといった攻撃の方法の利点の1つは、あらかじめ前線の4枚がペナルティエリア付近の中央のエリアに配置された状態となっているため、アーリークロスに対して人数をかけてクロスボールに合わせることができるという点だと思います。しかも、自由に動き回ることで相手のマークを混乱させることができます。実際に、アーリークロスに対してフリーでシュート(ヘディング)するシーンも何度かありました。
 また、特に右SBの松原のクロスの精度は非常に高く、アーリークロスを得意とする選手だという印象でした。
 マリノスは試合には負けましたが、とても面白い攻撃でした。

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