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マンツーマンプレッシングとゾーンブロック

20/21 ラ・リーガ 第32節
ビジャレアル vs
バルセロナ

~ビジャレアルに見た、プレッシングとブロック守備~

 今回は、先日に行われたラ・リーガ第32節のビジャレアルvsバルセロナにて、ビジャレアルの敵陣でのマンツーマンを原則としたプレッシングと、自陣でのゾーンディフェンスを原則としたブロック守備の局面について分析していきます。


スタメン(home : ビジャレアル)

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(away : バルセロナ)

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結果 : ビジャレアル 1 - 2 バルセロナ
( 前半 1 - 2、後半 0 - 0 )


ビジャレアルの守備
(プレッシング)

① 開始点
 ビジャレアルはこの試合のプレッシング時、主に下図の黄色エリアが開始点となる「超攻撃的プレッシング」を行っていた。
※状況に応じてゾーンを基準とした「4-4-2」のミドルプレスも行う。

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② 陣形
 プレッシング時の陣形は下図のようになる。具体的には、全体が相手の配置に合わせてマンツーマンとなる。
 ここで、サイドに位置する選手(SHのマヌ・トリゲロス、チュクウェゼやSBのA・モレノ、フェイス)は、マンツーマンの原則を維持しながら内側に絞り、全体の幅をコンパクトにしていた。

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③ スイッチと追い込み方
 プレッシングのスイッチは、GKまたは相手最終ラインからボールが配球されたとき。そして、追い込み方としては、全体をボールサイドへスライドさせながら、ボール周辺のエリアでマークの強度を高くする。

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 また、スイッチ後に相手がパスを連続して繋いだ場合も連続してプレッシャーをかけ続け、前後からボールホルダーを挟むように追い込んでいた。

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ビジャレアルの守備
(ブロック守備)

① 陣形と基準点
 ビジャレアルは自陣でのブロック守備時、下図のようにコンパクトな「4-4-2」のブロックを形成していた。ここで、ブロックの横の幅はペナルティエリアよりも狭く、縦の幅は約10m~15mに設定していた。
 また、守備の基準点はボールと味方で、ラインの位置関係を崩すことのない、いわゆるゾーンディフェンスを行っていた。

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② サイド
 サイド(大外レーン)に立つ相手にボールが出た時は、基本的にSB(フェイス右、A・モレノ左)あるいはSH(チュクウェゼ右、マヌ・トリゲロス左)のどちらかが寄せていた。
 ここで、SB(フェイス右、A・モレノ左)が寄せた際にはニアゾーン(CBとSBの間のスペース)をボランチ(パレホ、カブエ)あるいはSH(チュクウェゼ右、マヌ・トリゲロス左)がカバーしていた。
※SHが大外のボールホルダーへ寄せた際には、ニアゾーンとなるスペースを予めSBが埋めている状態となっている。
 またこのとき、他の選手は味方との距離感を維持しながらボールサイドへスライドすることで、全体をコンパクトに保つことができていた。

(左SBのA・モレノが寄せたシーン)

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(右SBのフェイスが寄せたシーン)

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(左SHのマヌ・トリゲロスが寄せたシーン)

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(右SHのチュクウェゼが寄せたシーン)

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 今回、ビジャレアルの守備について特徴的だったのは、プレッシング(ハイプレス)時には守備の基準点がマンマークであり、一方ブロック守備時では守備の基準点がゾーンであったという点。つまり、選手たちは「いまはどの局面で、この局面ではマンマークなのか、それともゾーンマークなのか」を正確に判断する必要があり、かつ、これを全選手が同じように判断して遂行できなければならない。
 また、ハイプレス時にマンマークを原則としたうえでサイドに位置するSHのマヌ・トリゲロス、チュクウェゼやSBのA・モレノ、フェイスは、内側に絞り、全体の幅をコンパクトにしていたことも特徴的だった。こうすることにより、全体としてはマンツーマンでありながら中央のエリアの密度を高めることができ、ボールを恰好のプレッシャーエリアであるサイドのエリアへうまく誘導することができていた。
 今後は、ビジャレアルの守備に注目していきたい。

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