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オランダ式の自由度の高いポゼッションとは?(オランダに見た、ポジショナルな攻撃の戦術)

2020 UEFA ネーションズリーグ 第1節
オランダ vs ポーランド

~オランダに見た、配置における自由度の高さ~

 UEFAネーションズリーグを通して様々な代表チームのサッカーを見ていくと、それぞれのサッカーにおける国柄が明確に見られとても面白いです。
 その中で、オランダは伝統的なトータルフットボールとして現在でもポゼッションを軸としたサッカーが見られます。
 そして、そのポゼッションサッカーはオランダ代表の選手1人1人のポテンシャルを最大限に引き出すものであると感じました。
 そんな、オランダ代表のポゼッションサッカーを分析していきます。


スタメン(オランダ)

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(ポーランド)

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結果 : オランダ 1 - 0 ポーランド
( 前半 0 - 0、後半 1 - 0 )


オランダの攻撃
(敵陣でのポジショナルな攻撃)

① 陣形
 オランダは敵陣でのポジショナルな攻撃時、下図のような陣形となる。
 特徴としては、CFのデパイ、トップ下のワイナルドゥム、SHのベルフワイン、プロメスが前線の中央のエリア(下図赤色のエリア)で自由なポジショニングを取る

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② プレー展開
 プレー展開としては、ボランチのデ・ヨング、デ・ローンを中心として、幅を使ってポゼッションを行う。そして、相手の守備ブロックを左右に揺さぶり、サイドのエリアからハーフスペースへの侵入を狙い、ハーフスペースからゴールを目指す。

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③ サイド
 サイドのエリアでは、ハーフスペースに前線で自由に動くデパイ、ワイナルドゥム、プロメス、ベルフワインのうち1~2枚が入り、ボールを引き出す。
 ここで、大外のボールホルダーであるSBのハテブール(右)、アケ(左)に対して必ずボランチのデ・ローン(右)、デ・ヨング(左)が、角度を付けてサポートする。(状況に応じて、ボールサイドのCBがサポートすることも)

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 また、大外レーンでSHのプロメス、ベルフワインやCFのデパイがボールを受ける時、SBのハテブール(右)、アケ(左)は下図のようにハーフスペースへ移動する。
 このときも、大外でボールを受けたプロメスやべルフワイン、デパイはカットインのドリブルなどによりハーフスペースからゴールを目指していた。

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④ ライン間
 ポゼッションを行う中で、下図のようにライン間や相手MFラインのギャップに前線のデパイ、ワイナルドゥム、プロメス、ベルフワインが自由に下りてきてボールを引き出す。

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 以上のように、オランダの前線の選手のポジショニングは比較的に自由度が高く、これは個人で狭い局面を打開する能力に長けたプロメスやべルフワイン、デパイの特徴を活かしたものであると感じました。

 この試合を見た率直な感想は、この短期間の中で、オランダのゲームモデルやプレー原則のようなものをここまで的確に選手に落とし込むことができていることに驚きを感じました。
 つまり、選手個人がそれぞれの局面の中で、同じような脳内地図を描き、同じような判断ができていたこと、そして、90分間高いインテンシティを保つことができていたということです。

 次節のオランダvsイタリアはとても楽しみです。

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