ゲームボーイで遊ぶ方がなんだかフィットする
どうも三橋です。
『Terra Australis Incognita』の話をします。
本日から時々、更新をしていきますので、お好きな時にお好きなだけ読んでください。
私が担当する、脚本・演出・宣伝美術それぞれの立場からであったり、または全体のことをふんわり書いていきます。
今日は主に、作品の骨格・体組成についてです。
ではどうぞ。
公演情報の発表とともに更新したnoteでも書いたが、今回の作品から大きく導入される、システムのようなものがある。
「これから始める「未知のデカい」取り組み」
つまりこれは、
・一つの戯曲を、いくつもの短い戯曲で構成する。これは音楽のアルバムのように捉えられる。
・上演時は、短い戯曲の順番を入れ変えることができる。この上演順は、環境や会場・季節や社会・出演者の人数などに起因する。これは音楽ライブのようにも捉えられる。
ただ、ほとんどの場合はこう書かれても、もし、目の前で言われても「?」って感じで、分からないことが多いかもしれない。
自分でも稽古やミーティングのたびに、「こんな盲点が、」ということが見つかるがそれ以上に、上手く表現の出来ないような感情の込み上がりを感じる瞬間が多いので、およそ一年間のうちのどこかで、一度でも見てもらいたい。初めての創作体系のために、期待と同じくらい不安もよぎることがあるが、ぜひ「百聞は一見にしかず」という言葉に身を委ねて欲しい。
ここまで譜面絵画では、さまざまな会場でさまざまな演劇作品を発表してきた。
ほとんどの作品は、現代口語演劇のセオリーから発車し、窓の外の新たなイメージに手を伸ばすように、会場や空間との関係性を中心に据えながらの創作を行った。
もし気になった方は、ほとんどの上演台本が公開されているので是非。グーグル検索で会場の写真を見ながら読むと、よりイメージが沸くかも。
戯曲『牛乳とハチミツ、ゆれて三日月を喰みる』
今回の『Terra Australis Incognita』は、そのような創作過程を経た、幾つもの作品の文脈が流れている。
およそ一年をかけ、さまざまな会場で、さまざまな出演者・スタッフと創作をしていく。
戯曲『Terra Australis Incognita』は2021年の1月上旬にリリース予定であり、祖師ヶ谷大蔵 ver.の公演が2021年1月11日。つまりは鑑賞前に事前購入をすることが可能。(短い(戯)曲を一曲単位で購入することも可能です。)
このフルアルバムとは別に、会場限定(戯)曲も発表していく。曲目は増え続け、上演時のセットリスト(上演パターン)も増える。これにより表現の幅を常に拡張していくことも狙う。
直近に控える祖師ヶ谷大蔵 ver.において、もちろん(戯)曲の上演順を決める必要がある。ベストの上演順である必要があるが、このような時に考えるひとつの仮説がある。
それは、ハードとソフトの面が、演劇には多分、備わっているということ。
パソコンにちょっと詳しい人には分かると思うが、パソコン本体がハードで、中身に入っている要素をソフト(ウェア)と呼ぶ。
これは例えば、戯曲がハードと考えることも、演出をハードと考えることも出来る仮説であり、自身の中でも都度入れ替わる。尋ねられた人がメインで行っていることが劇作か演出でも変化する言説だとも思える。
演劇におけるハードやソフトが何を定義するのかは個人差があると認めるが、あるハードとあるソフトが「フィットする」感覚については、あまり個人差が無いと見込んでいる。
自身が昔よく遊んでいたゲームの話で言うと、ニンテンドーDSでは、ゲームボーイ(アドバンス)のソフトも出来るが、「でもやっぱりゲームボーイのソフトは、ゲームボーイで遊ぶ方がなんだかフィットする」みたいなことだと思う。
このような「フィットする」ことは色々な形式やパターンで各々によって独自に存在していると思うが、ではこの、「なんだかフィットする」と言った場合の『なんだか』という感覚を少し掘り下げてみる。
自分はゲームボーイアドバンスSPを使っていたが、まるでガラケーみたいにパカパカ折りたたみ出来ることや、折りたたんだ時の手に収まるサイズ感といったゲームボーイへの正の記憶、ゲームボーイのソフトをDSで遊ぶ時、ソフトがDSの中に完全に収まらずに半分ほどはみ出ていたようなDSへの負の記憶を並べてみると、これらは今までなんと無くで積み上げてきた心覚えである。
ゲームボーイのソフトは、ニンテンドーDSで遊んだ方が、ゲームボーイ本体よりも画面が断然明るくて見やすいこと、二種類のハード分のソフトを一つの本体で出来るような利便性を差し引いても、ゲームボーイのソフトはゲームボーイで遊ぶことに軍配が上がると思えるのは、それだけ強い、個人の『なんだか』の感覚や記憶なのだろう。(人生で初めてゲームボーイのソフトを遊ぶ時にニンテンドーDSで遊んだ場合の感覚は変わりそうで気になる。)
上演順においてのベストを決定していく過程も一見、曖昧模糊に思えるが、メンバーのこれまで培ってきた心覚えに加え、会場の環境、季節なども加味して決定をしているので、私の感覚だけでなく、公の感覚にも開いていると感じる。
また、『Terra Australis Incognita』のハードを考えると、それは入れ替え可能な(戯)曲であり、そのハードに「フィットする」ソフトを用意する必要がある。
そのような珍しいハードに対し、強固でふさわしいソフトの”発明”をする必要があったが、無事に発明し、解決した時には声をあげた。確かお風呂場だったはずで、「あ〜〜そうだわ〜〜〜」って大きく呟いた。
このソフトについて今は説明を見送るが、
現在公開中の『Terra Australis Incognita』リード(戯)曲である、
「新世界よりも」を読むと、これかなと思えるかもしれない。
以上、今回はここまでです。
お読みいただきありがとうございました。
|公演情報|
譜面絵画 vol.11
『Terra Australis Incognita』
2020-2021
脚本・演出 三橋亮太(譜面絵画/青年団演出部)
【あらすじがわりの文章】
全員に訪れる未来そのものを、必ず向かう場所として捉えてみる。
そこがもし島や大陸ならば、周りに流れている海には何が流れているだろうか。
到着したとして、そこは過ごしやすいユートピア、暖かいパラダイスのような土地か。港なんて無かったり原住民に嫌われたりもして、ちょっとしたディストピアなのかもしれない。
未来そのものは、漂流先/旅行先のどちらだろう。どちらでもないかもしれないけど、それでも今回の作品はどこで生きますか・どこに行きますかみたいなそういう体験として存在させよう。こんなことを、新たな形式とともに、およそ一年間かけて向き合います。ぜひどこかでお会いしたいです。
① ワーク・イン・プログレス 映像公演 ver.
会場 動画配信サイト
日時 2020年12月6日(日)公開予定
出演 小見朋生(譜面絵画)
出演 河﨑正太郎(譜面絵画)
出演 宮ヶ原萌(譜面絵画)
音響 落合比奈
照明 黒岩玲音
照明 小西花菜子
制作 大川あやの(譜面絵画)
制作 河﨑正太郎(譜面絵画)
チケット発売日:2020年11月21日(土)を予定
② 祖師ヶ谷大蔵 ver.
会場 カフェ ムリウイ 屋上劇場
日時 2021年1月11日(月・祝)
出演 小見朋生(譜面絵画)
出演 宮ヶ原萌(譜面絵画)
照明 黒岩玲音
制作 大川あやの(譜面絵画)
制作 河﨑正太郎(譜面絵画)
制作 落合比奈
チケット発売日:2020年12月下旬を予定
③ 吉祥寺 ver.
会場 吉祥寺シアター
日時 2021年3月14日(日)
出演 小見朋生(譜面絵画)
出演 宮ヶ原萌(譜面絵画)
出演 川端真奈
出演 新藤みなみ(中野成樹+フランケンズ)
出演 高橋星音(無名塾)
出演 中村康太郎(人生旅行)
出演 中山正太郎(無名塾)
出演 松﨑義邦(東京デスロック)
出演 三河美優
出演 村山和弥(三輪舎)
映像出演 黒澤多生(青年団)
映像出演 南風盛もえ(青年団)
舞台監督 篠崎うらら
照明 黒岩玲音
制作 大川あやの(譜面絵画)
制作 河﨑正太郎(譜面絵画)
制作 落合比奈
協力 三輪舎/人生旅行/青年団/東京デスロック/中野成樹+フランケンズ/無名塾
チケット発売日:2021年1月中を予定
各公演の情報は、随時公開していきます。
今公演『Terra Australis Incognita』は、
現在発表している3会場以外にも、
2021年12月までさまざまな会場で
公演を行う予定です。
次なる情報をお楽しみにお待ちください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?