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Netflixドラマ『浅草キッド』で見つけた滅びゆく昭和の頑固おやじたち

おそらく3〜4回は観たであろう、Netflixのオリジナルドラマ『浅草キッド』

お笑い芸人であり世界的な映画監督でもあるビートたけしさんの原点である話、劇団ひとりさんが脚本監督です。

舞台は浅草のストリップ劇場「フランス座」。
そこで働いているタケシと、劇場芸人として有名な深見千三郎との出会い、そして、廃れる劇場と盛り上がるテレビの漫才ブームとの対比が時代の流れを感じ、切なさと笑いが入り交じるお話です。

ここに出てくる深見千三郎さんが、とても魅力的な方。
ビートたけしさん、きよしさんや、渥美清さんなど、浅草出身の芸人さんの師匠だそうなのですが、生涯舞台での芸にこだわり、テレビにはほぼ出ていなかったとのことで、映像は残っていないとのことです。
大泉洋さんが演じる深見はハットにスーツ姿で芸人というより「スター」の雰囲気を醸し出している人、きっとご本人も渋くてかっこよくて、舞台を降りても芸人であり続けた方なんでしょうね。

そんな深見さん、弟子が良くても決して褒めない、可愛くてもそれを表に出さない、なんだかいつも「バカヤロー」と怒っているイメージ。
堅物で頑固で何を言われても「バカヤロー」。
周りからは怖がられている。
でも弟子のことは可愛くて認めていて、活躍を応援している。
昭和時代にはよく見かけた、特に芸能の世界ではよく耳にした「昭和の頑固おやじ」そのものです。
今では絶滅危惧種ですね。

昭和の頑固おやじといえば、立川談春さん著書の「赤めだか」に出てくる談志師匠もなかなかのものです。

1つ忘れられないシーンで、弟子の一人と師匠がケンカをし、「そんなんなら辞めてまえ!」と師匠が啖呵を切り、翌日弟子は辞めてしまいます。
談春さんが翌日師匠のところへ行くと、師匠はメダカに餌をやりながら
「あいつ、辞めちまったよ」と寂しそうにつぶやきます。いやいや、辞めろって言ったのあなたじゃない、と思わずツッコみたくなるのですが、素直になれない不器用なところが昭和の頑固おやじなんですよね。

頑固おやじたちはいつも人を罵倒しているのに、周りの人たちにはその人情や優しさが伝わっているんですよね。そして愛されている。
ぱっと見はわからないんですよ。怒っているのか褒められているのか。でも弟子や周りの人たちには伝わっている。
その声色や表情や言葉の発し方で感情を読み取ることができるんでしょうね。

そうやって考えると、今の時代、昭和の頑固おやじが絶滅するとともに、わたしたちの「相手の感情を読み取る力」も衰えていくんだろうと思います。
少し寂しい気もしますが、それも時代。。。なのかな?


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