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僕は何に疲れているのか


僕は何に疲れているのだろうな。

色々なことに疲れて、何かしないと勿体無いとは思いながらも、何をする気もなくなり、ほとんど虚脱した状態になることがある。なることがある、というよりも、いつもそんな鬱々とした状態かもしれないし、少なくとも僕の周りの人はそういう風に認識していることだろう。

例によって特段予定はないし、何の予定もないくせに、数少ない時折僕なんかに連絡を寄越してくれる心優しい人たちの誘いも断ってしまう。

予定のないくせに、心優しい人たちの誘いを断って何をしているかというと、特に何をしているわけではない。昼過ぎまでだらだらと眠り続けたり、コーヒーでも淹れて本を読んだり、映画を見てみたり、テレビを見てみたり、散歩をしてみたり、そんな具合に無意味に時間を過ごす。

そんな具合に無意味に時間を過ごしていたら、また会社に行くべき時間がやって来る。

だから、なんとはなしに毎日会社へ行き、仕事をして、仕事をしながら家に帰ったらあれをしよう、これをしようと思考を巡らすものの、疲れてしまって、あれこれ予定していたことが捗らない。

会社では、思考の浅くて大してなんの成果をあげているわけでもないのに声の大きい人が多少昇進しがちで、決して彼らは、上の位にまで上り詰めることはないが、そんな具合に多少昇進した人たちが、そんな具合に声を大きくしている人たちを多少昇進させるから、まさに中間層的な人たちが、仕事の全体の質を落としていると思う。

そんなしようもない中間層な人たちの声は、まさにマスターベーションのように感じられ、聞きたくなくても会社に入れば耳に入ってくるし、うるせえ黙れなんて絶対に言えないし、彼らは大して仕事ができるわけではないけど、会社なんてそんな人たちが大半なわけで、嫌われて仕事をしてくれなくなったら困るのは僕だから、敢えて、仕事の質が微妙であるという真実を伝えることはしない。

あと、正直、僕は仕事はできる方の部類だと思うけど、仕事で成果をあげたって、周りに褒められたって、昇進して給料が上がったって、何だか物足らない。
と言っても、じゃあお前は何がしたいんだって聞かれたって分からない。”僕は仕事はできる方の人間だと思う”とか書いてしまったが、そういうことを思ってしまうあたりに小者感が出てしまって厭だなと思うけど、消すのも面倒なのでそのままにする。

僕のなかの過大な自恃の念が邪魔しているのかもしれない。
でも、だって、その時その時で自分で設定した、とりあえずの目標はなんとはなしにクリアしてきたんだから仕方ないじゃあないか。まあだけど冷静に振り返って見ると、目標自体が、仕様もなかった気もするし、都合の悪い事実は忘却するくせがあるような気はしなくはない。


そうだ、僕は何に疲れているのだろうな。

さっきも書いたが、僕はだらしのない人間に違いないのであるが、「君は何をそんなに生き急いでいるのか?」「〇〇くんは忙しいから」とかそんな具合の言葉を投げかけられることが多くて、そんな認識のギャップに疲れているような気もしたけど、僕の幼稚園の頃からの常習である、予定もないくせに予定があると言って他人の誘いを断るくせが、そういう認識を引き起こしているんだろうし、そんな認識のギャップのおかげで心理的に楽に過ごすことが出来ている気もするし、それを埋めることは面倒だから絶対にしないから、ずっとこんなふうに生きて行くんだろうな。

どこかの国の大統領は頭がおかしいみたいだし、日本の総理大臣もその周りも、完全にダークサイドに落ちている。ところで、僕は政治家の仕事は資源の再配分に尽きると思っているけど、みんな正直あんまり興味がないか諦めモードなんだろう。

自分から孤独になろうとしているくせに、ふと孤独を感じることがある。SNSをやってみるけど、これは大した解決策じゃないとすぐに気づいてやめるけど、また孤独を感じて、他に解決策が思いつかないからまたSNSをしてみる。その繰り返しだ。


ああ、僕は何に疲れているのだろうな。いつも考えるけど分からないな。
とりあえず、することがないから、また、とりとめのない文章を書いてしまった。

最後に、最近沁みた梅崎春生さんの「三十二歳」という詩を、こんなとりとめのない吐露を読んでしまった人に紹介して終わることにしたい。

三十二歳

三十二歳になったというのに
まだ こんなことをしている

二畳の部屋に 寝起きして
小説を書くなどと力んでいるが
ろくな文章も書けないくせに
年若い新進作家の悪口ばかり云っている

女房も持てない 甲斐性なしだから
外食券食堂でぼそぼそと飯を噛み
夕暮 帰って来ると 不潔な涙を瞼にためて
窓から 空を見上げてぼんやりしている

時には やり切れなくなって
アルコールなどをうまそうに啜り
挙句のはてに酩酊し
裸になって おどったりする

ゴヤやドーミエだって
こんな惨めな男は 描かなかった

雑巾にでもなって 生れてくれば よかったのに
人間に生れて来たばかりに
三十二歳となったと言うのに
おれはまだ こんなことをしている

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