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生誕80周年 恋かいこの人生HARDCORE論

学生のレポートを採点していて不思議なのは、わたしが講義で口にした言葉を引用している学生がひじょうに多いという事実です。こうした現象は、対面で講義をしていたプレ・コロナの時代にはあまり見受けられませんでした。オンライン講義が常態化したコロナ禍以後、おそらく学生にとって講義とはラジオのようにイヤホンで声を聴くコンテンツのひとつとなり、たとえ同じ内容だったとしても、教室で直接的に語りかけてくる言葉より、イヤホンを通して間接的に耳に届けられる声のほうが、より深く受け止めることができるのかもしれません。昨今、そんな逆説が生まれているような気がします。

そうしたなか、わたしが最近聴いていちばん心に響いたのが、stand.fmの「生誕80周年 恋かいこの人生HARDCORE論」。

御年80歳(!)の恋かいこさんがメイン・パーソナリティーを務めるラジオ番組で、現在公開されているうちの其ノ三と其ノ四のゲストは、切腹ピストルズの平太鼓、久坂英樹さんと、同じく篠笛の猪純さん。おふたりがかつて活動していたパンクバンド「狂乱」について詳しくお話をされているのですが、みなさんの言葉がいちいち鋭くて刺さりまくり。

恋さんの「クソガキに学ばなきゃどうすんのよ!」とか、猪純さんの「世の中みんな敵だと思っていた」とか、首がもげるんじゃないかってくらい首肯しました。

若かりし頃にパンクにどっぷりはまったわけでもないのにどうしてこんな共感するのか謎だったのですが、世代的な共鳴というより、おそらく根っこの部分で「世の中との合わなさ」(久坂さん)を共有しているのかもしれないと、番組を聴きながら想像しました。

とくに久坂さんの「本気で勝負するために東京に乗り込んだのに東京のパンクスがぬるすぎて肩透かしを喰らった」という話はわかりみが深すぎて、思わず泣きそうになったほど。

パンクシーンの思い出話というより、パンクスでなくても「世の中との合わなさ」を抱えながら表現活動を繰り広げているすべての人たちに届きうる声だと思います。一聴することを激しくおすすめします。

Radio Freeseaを主宰するSUMIKOさんのブログからぜひどうぞ。

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#パンク #切腹ピストルズ #福住廉

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