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地域に好きな色の水玉を増やす 〜チェーン店とネットショップをやめて個人商店だけで買い物をしてみた1か月のこと〜

30日間、個人商店しか使わないというチャレンジをしました。日頃、商店街を盛り上げようと活動しているなかでゲーム感覚で思いついたものです。期間は昨年11月中旬から12月中旬までの1ヶ月間。以下のようなルールを決めました。

  1. 期間中、ネットでの買い物はしない。

  2. 地域で数店舗展開している店もチェーン店とみなして利用しない。

そこに1店舗しかないお店を使うことにしました。

結果はかつてないほどお金を使わない1ヶ月となりました。同時に地元をウロウロしているだけで刺激が十分で飽きることはありませんでした。

ちなみに私は神奈川県の横浜市に住んでいます。地方だとまた違うと思いますので、そのつもりでお読みください。

バランスをとるための行為である

期間中、自分に問いかけました。

経営努力をして顧客に支持されて規模を大きくしてきた店をどうして避ける必要があるのでしょうか。どれだけ努力をして成長させたというのでしょうか。それをどうして毛嫌いするのか?

規模が大きいから搾取だ、とか、はたまた、small is beautifulとは思っていません。

これに対する答えは、バランスを取るため、です。

規模が大きくなったところはそれだけ広告費もかけられてより大きくなっていける。しかしその横で小さなものたちの声はかき消されていく。小さなものたちの声は耳をすまし目をこらさないと届いてこないのです。

地域のお店も同じです。大きな規模の店は通りすがりにもわかりますが、小さな個人のお店は見つけようとしないと見つからない。これは確かです。

私は期間中、たくさんのスーパーやドラッグストアを素通りし、小さな店を見つけようと歩いていました。これは日常の習慣から離れてバランスをとるための行為であったと考えています。

さあ、具体的な話をしましょう。

1番面白いのは食

一番面白かったのは食材の購入。歩いて10分くらいの商店街によく行きました。かなり歯がぬけちゃった商店街ではあるのですが、探せば意外と色々手に入ります。

肉屋では鶏肉も豚肉もおいしくて、必要な量で買えるし、何回かリピートしました。

またある日は、ガレージに「こんにゃく」「ネギ」と書いた段ボールが置いてある家を見つけ、こんにゃく芋から練ったこんにゃくと自家製のネギを分けてもらいました。

また別の日には、伊豆の天草を使ってところてんや寒天を作っている店を見つけました。黒蜜も自家製。夏にまた来たいです。

若い人がやっているコーヒー屋さん。店の外観は個性的ですが、子供たちが窓越しに手を振ったり、ママの代わりに注文していく姿を見て、地域に愛されているお店だと感じました。


探してみると生き生きとやっている飲食店や飲み屋、食材店がたくさんありました。独自の仕入れをして、確かな腕を持った作り手がいて、独自のメニューがあり、味も美味しい。

どんなにグローバルな流通網があっても、食品の場合は最終的な加工と調理はそこでやるしかないので、その人ならでは味ができるし、作り手の矜持を表現できる。食という分野と地べたの地域は相性が良いです。

私はお酒が弱いのですが、飲み屋も含めると面白い素敵な店はまだまだあるでしょう。

ただ牛乳と豆乳は困りました。足が早いから回転が見込めないと置かないのかもしれません。なかなか見つかりませんでした。

大変だったのは消耗品

チャレンジの中で一番困ったのは洗剤やキッチンペーパーなどの消耗品です。普段はドラッグストアかAmazonで買っています。できないとなると、、、。

一週間くらい探しました。ふと近所の飲み屋に併設された雑貨コーナーで発見。洗剤もキッチンペーパーも1種類のみ。やっと手に入れた洗剤はこちらです。

消耗品をわざわざ仕入れて販売している個人商店はほぼないです。

トイレットペーパー、コンタクトレンズの洗浄液、洗剤など。いかにチェーンストアの流通網にお世話になっているかを痛感します。

ちなみに服も困りました。おばあちゃん用の洋品店はあるけど、私世代の服が売っている個人店はほぼないです。隣町に行ってもユニクロや駅ビルの中の店ばかりが頭に浮かび、嫌になって買いませんでした。

自転車を探し回るが見つからず


自転車(ママチャリ)を買う予定だったのですが、チャレンジ期間が重なったため、めんどくさいと思いながら、個人の自転車屋をGoogleで調べては一つずつ訪ねました。6店舗くらい行ったかな。

結局、どこも品揃えが少ないのと、やる気があるのかないのかわからない店もあり、3−4万の買い物をする気にはなりませんでした。買ったあとのメンテナンスも考えると今後も付き合えるお店じゃないと嫌です。

ここにきて、個人商店のストレスを感じることが多くなりました。中に入っても誰もいない。数えるほどしかない自転車の奥にむすっとしてほこりかぶったようなおじさんが座っている。在庫を倉庫から出してきましょうか、と言われて出してもらったら買わないと悪い気がして見ずに退散する。もう一度見ようと思ってお店に寄ったらもう閉まっていた。まだ5時なのに、です。

個人商店が客に強いる緊張感とストレス

個人商店が強いる緊張とストレスがあることは否めないてす。

陳列も品揃えもスタッフもなにもかも店ごとに違う。毎回気を使う。注意深く観察して振る舞う必要があります。

そこが毎回楽しいところであり、同時に、客の側に時間と心の余裕がないとできません。

できるだけ感情も動かさず、気も使わず、同じ導線で、時短に買い物をしたいと思う。平均化されたサービスを望むのも普通の人間の心理ですね。

そのあたりの負荷を減らすために、個人商店がSNSで最低限の情報を出すのはもはやマナーではないかと思いました。

あとは、やる気もないけど開けている店が結構あります。相続も関係しているのでしょうか。

客としてはトラップにひっかかったようなものです。正直、退散して欲しいと思いました。

これまでの私でしたら、そういう店も懐かしいという言葉で済ませていた気がしますが、いざ実際に買い物をする気持ちで店を見るとイライラしました。

こういった店は地域全体の個人商店のレベルを下げているように感じます。規模は小さくてもいきいきと商売している店から買いたいのです。

1回ダメだと回復不能な怖さがある

誰しも二度と行かない店がありますよね。
味が好みでないから。スタッフが感じ悪いから。品が汚れていたから。理由は様々です。

個人商店は一回評価が悪いと二度と使ってもらえないというシビアな天秤にいつもかけられています。大手やチェーンストアならいつも別の選択肢を用意できます。この商品がダメなら別の商品。このスタッフがダメなら別のスタッフというように。

サービスが個人に張り付いていて、変えが効かないというのは実は怖いことでもあり、緊張感がありますね。

意外と辛口な結論

個人商店っていいよね、という牧歌的な結論にはならず、意外にも辛口になりました。

消費者として生き生きと商売しているところから買いたいと思うのは当たり前です。そこに規模の大小は関係ありません。個人商店だから保護すべき、といった話ではなく、しかるべき新陳代謝が進むように政策等を使って誘導した方がいいと思いました。

最初に店に入るきっかけを提供するのが大事


チャレンジ期間を終え、すぐにもとの生活に戻りました。Amazonでポチれば明日に届くってまじ最高。スーパーのお弁当は安くて良い。ドラッグストアの品揃えは半端ない。普段の生活は、チェーンストアの安さやネットショップの便利さに支えられていて、切り離すことはできません。

ですが、やっぱり、一方で、そのオルタナティブな選択肢として、地域の個人商店も親しんでおくことは豊かなことだと感じます。

そこにしかない味や雰囲気を楽しめる面白さがあるし、人の顔がみえる中で買い物ができる心地良さがあります。馴染みの店が増えていくと地域に好きな色の水玉を落としていくような親しみがわき、自分がいる土地への見え方も変化があります。

しかし、その際、最初に店を見つけて入店することに1番のハードルがあります。ですので、情報を出したり誘導をしたりするのは非常に有効ですし、このように特別なチャレンジ期間を設けてゲーム感覚で親しむのもなかなかおすすめです。

私はこの期間に4、5店舗はまた行きたい店が増えました。みなさんも気が向いたときにチャレンジをやってみてください。発見が色々ありますよ!

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