カスタマーサクセス「顧客成功」10の原則
■はじめに
月額で料金を支払うサブスクリプションモデルにおいて獲得した顧客を離さないことは必須である。
カスタマーサクセスとは、心理ロイヤルティを生み出すための手段。
自社の成功のために顧客をサポートするのではなく、顧客の成功を第一の目的とする。
■カスタマーサクセスの提供方法
顧客は3つの層に分かれる。
①ハイタッチ
最も人手が必要だが、かかった費用は顧客が製品に支払う金額で元が取れる。
②ロータッチ
ハイタッチとテックタッチの中間。ハイタッチ客にしているような上質なサービスは必要ないが、ある程度個別に対応したいと思う程度に重要。
③テックタッチ
全ての顧客との接点がテクノロジー主導で行われる。あらゆる対応を一対多にしなければならない。
カスタマーサクセスの10つの原則
原則① 正しい顧客に販売しよう
間違った顧客に販売することによってかかるコストは甚大。
原則② 顧客とベンダーは何もしなければ離れる
チェーンとは、サービス加入者のうち、そのサービスのサブスクリプションを一定期間で止める人の割合と定義できる。
チェーンが起きるのは偶然ではない。
10の理由と対策
①金銭的リターンや事業価値が得られない
カスタマーサクセス部門があれば、顧客の目標を再検討した上で製品導入段階にすぐ価値を得られるようにする。
②実装が遅れたり完全に止まったりしている
パッケージやサービスを定義して、顧客が商品を知り、購入するまでに利用した価値があったと気づくまでの時間を縮める。
③プロジェクトスポンサーやパワーユーザーがいなくなる
重要人物の1人がいなくなったり役割が変化しても、他に頼れる人物がいる状態にする。
④製品定着率が低い
顧客の事業ニーズを分析するプログラムを開発し、製品の中で使える機能を描いたカスタマージャーニーに顧客を導く。
⑤別のソリューションを利用している会社に買収された
制御できないチェーン。
⑥製品の機能が足りない
製品の方向性について顧客から意見を聞き、考えを尋ねる。
顧客が自分から深く関わるようになって自分もプロセスに参加していると感じられるようになれば、その顧客はあなたから離れ難くなるはずだ。
⑦新たなトップが方向性や戦略を変えつつある
自分から新しいトップに電話をかける。重要なのは、とにかく先んじて行動することだ。
⑧品質の低さや性能の問題に影響されている
自分から進捗状況を連絡する。サポートによって問題が解決に向かっていることや信頼関係が伝われば、価値があると信じて感じてくれる。
ただし、問題がいつまでも解決しなければ、顧客が離れる恐れもある。
⑨製品が自社にとって適切な解決策でないことがわかった
潜在顧客が理想の顧客の情報と一致していない部分を見出して、その顧客の事実上の問題を解決する別の方法を提案できるようにする。
⑩人的要因
顧客とやり取りする全員に注意を払って、顧客との組み合わせが理想的なものでないことを示す危険信号が出ていないか常に確認する。
否定的な意見を無視してはいけない。
関係修復が可能なのか、担当者を変更すべきかの判断を迅速に行う。
原則③ 顧客が期待しているのは大成功だ
顧客が大成功するのを支援するには、まず何が客にとっての成功なのかを理解しなければならない。
1、顧客はどうやって成功を図っているのか
2、その指標から判断すると顧客は成功しているか
3 、成功への過程で顧客はどんな期待をしているか
定量的に測れないが、極めて重要であり、顧客との関係ややりとりの傾向決める項目。
営業サイクルでは重要されているのに実装は見過ごされやすいのが、投資利益率の定量化だ。定期的に進捗を確認しよう。
・チェーンの削減
・アップセル機会の創出
・チームを拡張する力の向上
★顧客が買っているのは問題の解決策であり、より良い道のりなのだ。
原則④ 絶えずカスタマーヘルスを把握管理する
カスタマーヘルスの要素のうち、顧客の健全性全体の判定に使えるもの
1、製品定着率
カスタマーヘルスを最も雄弁に語るのは、顧客が製品を使っているかどうかやその使い方だ。
2、カスタマーサポート
3、調査結果
何か聞かれたときに顧客がどう変えるかは特に重要である。
4、マーケティングへの関与度
5、コミュニティーへの参加度
6、マーケティングへの参加度
7、契約金額の増減
8、自立度
9、支払履歴
10、幹部との関係性
絶えず、カスタマーヘルスを、把握管理する。
原則⑤ ロイヤリティーの構築に、もう個人間の関係はいらない
強い顧客関係とロイヤルティーの構築と育成には、フィードバックグループが欠かせない。
ロイヤルティーを生み出す3つの原則
1、連絡を取る頻度を増やす
2、明確な見通しを決める
3、できるだけ透明性を保つ
個別対応せずとも、一対多の手段を用いてカスタマーサクセスの達成は可能。(ハイタッチ層を除く)
原則⑥ 本当に拡張可能な差別化要因は製品だけ
大成功へと続く唯一の道が製品である。
重視すべきなのは、簡単で直感的に使えること。
成功している会社は例外なく、何よりもまず優れた製品を生み出している。
(Apple、Googleしかり)
そのためには、顧客からのフィードバックが大切。
原則⑦ タイムトゥーバリューの向上にとことん取り組もう
具体的な成功の指標を固める。
顧客に少しでも価値があることをわかってもらうには、最も重要な指標から取り組む。
何度も取り組み、すぐ調整する。
・ハイタッチ
タイムバリューにとことん取り組もうとするなら、価値を決める方法と図る方法を見つけ出すことが必要。
・ロータッチ
顧客層に対するカスタマーサクセスの段階を他よりも厳格で画一的に進める。自動化が緊急課題。
・テックタッチ
ユーザーエクスペリエンスはどれもIT主導でなければならない。
原則⑧顧客の指標を深く理解する
CMRR:月単位で確認されたサブスクリプションの前定期収益に、現在処理中の契約済案件と生産段階に入った案件を出して、そこからチェーンを引いた金額である。
チェーン:既にサービスを停止したか将来停止することが予想される顧客から今後はもういられなくなるCMRRのこと。
チェーンとリテンションを定義・計測・理解するには、以下の5つのステップに進めるといい。
①計測方法とCMRRの要素を定める
②計測期間と頻度を定める
③CMRRの予測値と頻度を決める
④チェーンの疑いがある状態とチェーン間近の状態と区別する方法を決める
⑤会社の上層部が足並みを揃えて、チェーンとリテンションの基準となる定義と報告方法を固める
原則⑨ ハードデータの指標でカスタマーサクセスを進める
組織の成熟度の指標となるのは、反復できること、プロセスが定義されていること、計測していること、そして最適化されていることだ。
カスタマーサクセス部門に関するプロセスを管理、最適化できれば、事業の目標(高い顧客満足度、低い間、収益拡大など)に近づける可能性が上がることになる。
調査対象として考えられる指標の分野は大まかに3つ
①顧客とユーザの行動
②CSM(カスタマーサクセスマネージャー)の活動
③事業の成果
原則⑩ トップダウンかつ全社レベルで取り組む
カスタマーサクセス部門には他部署の参加が欠かせない。
どんな状況でも決断ではなく単なる習慣になるところまで、これを社風や会社のDNAの一部にしなければならない。
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