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消費者理解の徹底追及 "USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?"

2001年にオープンし、今や日本最大級のテーマパークとしての位置を確立したUSJ。

コロナ禍の中ではありますが、ここ最近も鬼滅の刃のアトラクションで話題を呼んでいます。限定の禰豆子のポップコーンケースが大人気で長蛇の列だとか。メルカリで調べてみるとものすごい金額で売られていました。

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画像引用:メルカリ

様々なヒット企画やアトラクションを生み出しているUSJですが、実は人気が低迷していた時期がしばらくありました。

初年度には1,100万人にも達した来場者数が少しずつ減少し、ついには700万人代前半まで落ち込んでしまったのです。大阪在住の方であれば、一時期のUSJの低迷を肌で感じていた人も多いでしょう。僕自身もそんな1人です。

そんなUSJの状況を一変させ、まさにV字回復を果たした立役者が2010年より再起のために投入された森岡毅氏です。

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今回は森岡氏がUSJのV字回復について語った書籍を紹介させて頂きます。大人が読むと別の視点からUSJを楽しむことができる1冊です。

消費者理解の徹底的な追及

このことへの尋常ではないこだわりこそが森岡氏の真骨頂です。

USJに入社する前のP&G時代にヘアケア商品を担当していた頃は毎日髪を染め変えるほど。

また、USJで人気だったモンスターハンターとのコラボ企画時には睡眠時間を削り、実際にゲームを400時間以上プレーするなどの逸話もあります。

「消費者の視点を理解するために消費者になりきる」森岡氏がマーケティングにおいて一番大切にしていることと言っても過言ではありません。

森岡氏はこの視点からオープン当初は映画作品のアトラクション専門店だったUSJにアニメやゲームなどを多く取り込みました。今やそのイメージの方が強いくらいかもしれません。

売上の半分以上を投資する大勝負

USJがアニメやゲームのアトラクションを取り入れることで集客を計ったのにはもう1つ理由があります。

2014年にオープンしたハリーポッター、これは森岡氏が入社年に決定したプロジェクトでした。その総工費なんと450億円。当時のUSJの売上が約800億円だったので、まさに売上の半分以上を投資する大勝負でした。

ハリーポッターの成功自体は確信していた森岡氏ですが、そのオープンまでにはできるだけお金をかけずに乗り切らないといけません。しかも単純に乗り切るのではなく、入場者数を増やさないといけないのです。

当然、新しい大型アトラクションの新設は不可能でした。

そういった背景から「実は以前からひっそりと開催されていたワンピースショーのリニューアル」や「既存のアトラクションをリニューアルしたハリウッド・ドリーム・ザ・ライド ~バックドロップ~」や「夏の水鉄砲、秋のハロウィンなどのシーズンイベント」が生まれました。

本書で紹介されている森岡氏のアイデアを考える流れは以下の通りです。USJの例に合わせて解説していきます。

①目的を徹底的に吟味して考える⇒目的はUSJの場合は関西依存の集客からの脱却、そのアイデアが超大型アトラクション ハリーポッターの導入。

②アイデアが満たすべき必要条件を考える⇒必要条件はハリーポッターのオープンまでは出来る限りお金をかけずに乗る切ること。

③具体的なアイテムを考える⇒上記の様々なリニューアルやシーズンイベント。

また、森岡氏は本書で以下のようなことを述べています。

目的が正しいかについては慎重かつ徹底的に考える。一度正しいと判断したら目的自体が無理だと嘆くことに時間を使わない。

目的が正しいなら出来ない理由を並べることに時間は使わず、できる方法を模索するということでしょう。

マーケティングの話ってなんだか小難しさを感じてしまうのですが、本書は小説のように読みやすく、森岡氏の話はとてもシンプルで共感もでき懐に落ちやすいです。

小難しいテクニックを覚えたり実践する前にまずは消費者理解を徹底的に追及する。それこそがマーケティングの基本であり神髄であるのかもしれません。





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