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悪夢と倫理観


私はよくうなされる方らしい。
悪い夢を見て、叫びながら起きる。そんなの慣れっこだ。何日も連続してそうなることも多い。
大抵は精神的に疲れているときだから、充分に休めばそのうち落ち着く。

悪夢っぽい悪夢の話

悪夢の内容はいろいろだ。追いかけられる夢。殺されそうになる夢。なぜか多いのが、出かける時の服が決まらない夢。どうしても決まらなくてタンスをひっくり返しているうち、気づけば遅刻してしまう展開も多い。

心当たりは大いにある。昔から朝が弱かった。高校時代までは親にひどく手を焼かせたものの、遅刻はしなかった。

一人暮らしを始めてからはひどいもので、進級がかかった試験に遅刻したり、遅刻が重なり過ぎてバイトが続けられなくなったりした。
書いてみると改めて、ものすごい社会不適合者で落ち込む。

悪夢じゃない悪夢の話

もうひとつ、わたしには悪夢と呼べるものがある。その悪夢ではわたしはきっとうなされていない。むしろ楽しい夢であることも多い。

けれど、覚醒したわたしは吐き気がするほどの嫌悪を感じる。

夢の中のわたしは「奴ら」と笑っている。
わたしをいじめた奴ら、殺したいとすら思っている奴らと。
夢だとわかっていても、そんな自分に吐き気がする。

最悪の悪夢

一番最悪なのは、奴らに嫌われないように媚びへつらう夢だ。こんな夢を見た日は、寝起きどころかその後も自己嫌悪に取り憑かれる。わたしのせいじゃない。夢なんてコントロールできないんだから。

けれど、思ってしまう。
わたしは未だに、奴らに嫌われるのが怖いんだ。

あれだけ拒絶されて、仲間はずれにされて、罵倒されても、わたしは奴らに嫌われたくなかったらしい。

転校生が来て、仲間はずれの対象が彼女にすり替わったとき、わたしは奴らに媚びることを選んだ。
奴らは何もなかったかのように、わたしを友だちとして扱った。わたしはそれを受け入れた。

今思うと信じられない。一ミリたりとも理解できない。

わたしは臆病だったけれど、あの子を助けるための行動なんてきっと取れなかったけど、せめて奴らを拒絶する道はあったんじゃないか。
本当にどうしてなんだろう。

悪夢と正義感(仮)

わたしは自分が嫌いだ。
大人になった今では「嫌いなら嫌いで仕方ない」と思えるけれど、それでもやっぱり許せないことがある。

わたしは「あの頃のわたし」を軽蔑している。たとえどんなに弱くても、追い詰められていても、やってはいけないことがある。わたしにとってはそれが「いじめ」なんだと思う。

あの頃のわたしは被害者だった。可哀想な子どもだった。それでも絶対に許せないくらいに。

わたしの倫理観はどうしようもなく壊れている。
復讐はなによりも優先されるべきだ、とか。
場合によっては、人を×しても良いと思ってるとか。
罪を犯した人間は、その大小を問わず、この世から消すべきではないかとか。(だから、わたし自身もその対象だ)

それでも、複数の人間が一人を攻撃する構図だけはどうしても許せない。正義感なんて立派なものではないとして、これを何て呼べば良いんだろう。

悪夢は続く

わたしは音がないと眠れないタイプだ。
起きている間は違う。むしろ環境音すらない静寂が好きだ。防音室に入ったことがあるのだが、あの耳がキンするほどの静寂は最高だった。あれほどの快感を味わったことがない。防音室に住みたい。

話が逸れた。ではなぜ音がないと眠れないのか。それは視覚が遮断されるからだ。
視覚が遮断されると、どうなるか。
わたしの脳は、外部からの情報を受け取れなくなり、過去の映像を再生する。

過去の映像=悪夢のような小学生時代のイメージだ。当時の記憶はかなり飛んでいるから、正確とは言えないのだろうけれど、わたしを不安定にさせるには充分だ。

わたしはYouTubeの実況動画や解説動画などを流して眠りにつく。歌詞のないBGMや波音などの環境音はだめだった。
ときどき内容が面白くて眠り損ねるのだが、それでも変えることは出来なさそうだ。

これが罰なのかなと少し考える。
あの子が知ったら、少しは溜飲が下がるだろうか。

悪夢を感染す

寝てる間も、起きている間も、悪夢。
やってられねぇ。

あいつらは許さない。復讐は絶対する。わたしみたいに永遠に悪夢を見続ける体質になれば良い。
奴らは罪人だと、わたしが定めた。だから復讐してやる。

もし終わるときが来たら、ただの罪人に戻ることにする。罪を忘れず、それでもどこかに向けて進もうと思っている。

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