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いかにも入試に出そうな新聞記事を発見

(このnoteは、無料メルマガ「ふくしま国語塾・福嶋隆史の教育情報局」の一部を転載したものです)

最近、読売新聞のなかに、いかにも入試問題(中高大問わず)に出題されそうなテキストを見つけましたので、ご紹介します。

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2020/07/12(日)朝刊 9面

[あすへの考]【教育の中での読書】 紙の本「深く読む脳」育む…神経科学者 メアリアン・ウルフ氏

リード:
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、仕事や学習、買い物や余暇など暮らしの中でオンラインの利用が増えた。多くの人が色々な情報をパソコンやスマートフォンなどデジタル端末で入手している。この流れは更に加速しよう。
政府がコロナ禍を受けて計画の3年繰り上げを決めたため、今年度中に全国の小中学校で児童生徒に1人1台学習用端末が行き渡る予定だ。情報通信技術を用いた授業が本格化する。明治以降の「紙の教科書」主体の教育からの大転換といえる。
これを機に、読む行為について考えてみたい。
新著「デジタルで読む脳×紙の本で読む脳」が評判の米国の著名な神経科学者、メアリアン・ウルフ氏に電話で見解を聞いた。
(編集委員 鶴原徹也)
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デジタルで読む脳×紙の本で読む脳』自体、入試に出そうですね。

さて、内容を一部のみ引用しておきます。

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ヒトが文字を読み、書くことは当然だと私たちは考えがちです。違います。読み書きはヒトの天性ではありません。発明です。
(中略)
私流に言うと、「読む脳」の誕生です。「読む脳」は経験を重ねて成長します。子供は読むことで育つともいえます。
(中略)
ただ、読書嫌いは直ちに無分別を意味しません。例えば、古代ギリシャの哲学者ソクラテスは読書を批判しました。人生の意義は、言葉を吟味し、問いを発し、自ら思考することにあり、読むことは書き手に頼ることにあり、怠惰に堕すると信じたからです。
(中略)
しかしながら、ソクラテスの主張を当時の「パピルス文書」という媒体の批判と捉えれば、現代に通じるものがあります。私に言わせれば、スマホなど現代のデジタル媒体は「言葉を吟味し、問いを発し、自ら思考する」ために適した媒体ではありません。
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……といった具合です。

・翻訳だからなのか、少し読みづらい。
・内容に、いかにも教師あるいは大人たちが子どもに諭したがりそうなメッセージが含まれる。
・ただし、逆説的な内容も含まれる。
・7月に公開された文章である。

どれも、入試に適したパターンです。
7月というのは、入試作問担当者が問題を作るための素材を探す、ギリギリのタイムリミットであると思われます。
そのリミットの範囲で、最も新しいテキストが見つかる。それが7月です。
7月に刊行された本が翌年2月の入試に出ているというパターンに、私はこれまで何度も遭遇しました。

約2,700字という字数も、入試問題に適しています。

まあ私からするとさほど面白い文章ではありませんでしたが(笑)、ぜひ、チェックしてみてください。それでは今号は以上です。また次号にて。

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