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#168 とある福島市民の一日(民報サロン第4回)

2020.3.12 福島民報 民報サロン第4回 全文
「とある福島市民の一日」

午前8時——「愛国の花」のメロディが流れる。

毎週日曜朝8時は、福島駅東口の古関裕而像前に桃色Tシャツを着た人々が集う。

かつて路面電車の走っていた道をなぞるように、福島競馬場までゆっくりとしたペースで走る。

「ジョギング@ふくしま」は、「健康づくり・仲間づくり・楽しみづくり」をモットーに、2014年4月に発足した。参加者は、小学生から50代まで幅広い。

「この店の雰囲気すごく良いんですよ」。

走りながら、目に入るまちの良さをメンバーと語り合う。代表の荒木健夫さんは、多様性を大切にしている。

集うメンバーの個性を誰よりも認め、尊重し、最大限活かそうとする姿勢に、常日頃から憧れを抱く。

午前9時——さんかく広場へ歩を進め、「まるごみ」と印字された赤いビブスを身につける。

「まるごみふくしま」は、2014年11月の立ち上げ以来、毎月第1日曜日朝9時に集まり、駅周辺のゴミを拾う取り組みを行っている。

「この辺にタバコの吸い殻が多いのはなぜだろう」「ゴミ箱を増やしたほうがポイ捨ては減るのかな」ごみを拾いながらそんな会話をする。

ただのごみが、気づきを与えてくれる価値あるものに変わっていく。

みんな穏やかでいて魅力的なのは、発起人の佐藤いく子さんの人柄所以だろう。

いく子さんの趣味は飲み歩、、間違えた、ウォーキング。ウォーキングには十分な水分補給が大切だそうです。

正午——家に戻りシャワーを浴び、再度まちへ繰り出す。

今年2月にオープンしたばかりの「くつろぎ納屋 森のキッチン」でのんびりピザを食べる。
福島市方木田の住宅街に静かに佇んでいる。

オーナーの森口秀貴さんはいつも笑顔が暖かく、やさしい。誰にでも分け隔てない態度で接してくれる。子ども食堂や地域団体に積極的に関わる森口さん。

今後、お店をコミュニティースペースとしても開放する予定とのこと。

方木田周辺の住民を中心に、みんなにとっての安らぎの居場所になることだろう。

午後2時——食後は、福島市上鳥渡にある「カフェ&ブックス清学舎」で台湾茶を飲もうと思い、車を走らせる。

入店後、いつものように店主の清野育宏さん・奥様の奈保美さんと談笑する。「今日はインドネシアのコーヒーがあってね」。

台湾茶の気分だったが。むむ。飲んでみたい。。気持ちが揺らぐ。
結局どちらも注文することに。

かつては学習塾だったが、改築して、古本屋兼喫茶店として2018年8月に開店したとのこと。

お二人とはいつまでも、なんでも話せる。
瞬く間に時間が過ぎ、辺りが暗くなってきたので帰り支度をする。

会計後、いただいたショップカードの裏には「ラッキー!次回50円引き!」と手書きのメッセージ。思わず頬がゆるむ。

どの団体・店舗も、震災後に設立されている。みんな、福島を愛している。

だからこそ、福島に根付き、あたたかで、魅力的なまちにしようと、いま自分たちができることに取り組んでいるのだろう。

福島には、僕がまだ出会ったことのない、素敵な人たちがいるんだろうな。

これから、どんな出会いがあるのか、今から楽しみで仕方ない。

「ふくしまは負けない 明日へ」。

10年目の福島が始まった。

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次回の記事もどうぞお楽しみに!

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