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「ただ、いる」から、鎧が溶けていく|大橋拓真|2023-24 essay 03

所属や分野・領域の垣根を超えて多様な人たちが集まり、対話し、実践的に学び合う「ふくしデザインゼミ」。2度目となる今年は、28名の学生と若手社会人が、東京八王子、伊豆大島、滋賀高島、長崎諫早の4地域をフィールドに「福祉をひらくアイディア」を考えてきました。

正解のない世界を漂流する2ヶ月のプロセスのなかで、若者たちは何を感じ、何を思うのか。このエッセイでは、ゼミ生一人ひとりの視点から、ふくしデザインゼミを記録します。

はじめまして、大橋拓真と申します。
人類学・哲学・思想を学んでいる大学生です。

こちらのnoteは、ゼミ講師でもある小松理虔さんが、昨年12月に行われたイベント「ふくしデザインゼミ・オープンフォーラム」について、熱量たっぷりに書いてくださったものです!フォーラムは、在野人類学者の磯野真穂さんによる、人類学やフィールドワークに関するお話しが軸になっていて、とても印象的でした。ぜひ読んでみてください。

ぼくは、なんちゃって人類学者として、もしくは学生人類学者として、参与観察・フィールドワークするような気持ちで、1月の「キックオフキャンプ」に参加しました。

このエッセイは、そこでのぼくのまなざしと、関わり合いの記録です。少しの間一緒に対話して、水の中に潜りましょう。焚火を囲みましょう。温かいお茶、コーヒーでもともにして。ぜひ、ご一緒に。


1日目┃お互いをひらき、「わからなさ」とともにあること

初日は自己紹介から始まった。ここに集っているのはどんな背景を持つ人なんだろう。お互いを探る時間。ぼくも緊張していました。

休憩中なんちゃってフィールドノート書いてました。笑

キックオフキャンプを通して、複雑性、不確実性、わからなさ、もやもやたちとどう向き合うか、付き合うかについて、みんなで考えていたな気がします。

抑圧と我慢。生産性と合理性。規範とルール。ラベルと学歴、役割。社会的に評価されること。社会の枠組みに押し込められること。殻に閉じこもること。それらからどう人間らしさ・人間性を取り戻していくのか。解放していくのか。

講師の竹端寛さんとの「寛子の部屋」で1対1のもやもや対話

キックオフの1日目、印象に残った言葉や文章をいくつか共有します。

① 人間の身体に巡るすべての感情を表現できるのが、バレエや文学、スポーツ、ダンス、音楽、舞台etc. だよね。と話してくれて、心に響きました。言葉や会話、対話だけでないコミュニケーションをすること。

② ひらかれた自分語り、もやもやしていても時間は進んでいく。ちょっとずつ成長していく。既存のルールはだれかがつくった。深い意味があるわけじゃないかも。

③ 日常にあるものに目を向けていく、気づこうとする姿勢・在り方。
わからないーわかろうとする
気づけないー気づこうとする

他者と関わることでぼくが豊かになり、厚みが出てくる。不確実性やわからなさに対する耐性ができて、不確実性やわからなさが楽しみになっていく。喜びになっていく。わからないからこそ未来を創れるわくわくが生まれてくる。

濃密な初日でした。

2日目┃ぼくにとっての「ただ、いる」と「弱さ」

2日目も熱気とともに集う。ふくしとは?デザインとは?竹端さんと田中さんからワークショップがあり、みんなで問いを深めて広げていきました。

午後から個別ゼミ。ここからも面白い。ぼくが参画している小松ゼミは八王子でのフィールドワークで何もしない。「ただ、いる」をする。滞在する。「ただ、いる」を実践する。

???

どういうことだろう。ぼくもわかりません。笑

けれど、ぼくにとってこのゼミでの時間は自分のなかの、強くあらねばという声、能力主義、個人主義、自己責任論、自助など、これまで生きてきたなかで身に着けてきた鎧を溶かす時間になりそうです。

ぼくの鎧を溶かしてくれる。小松ゼミ!

ぼくはこれまでチームをひっぱったり、リーダー的な在り方をする機会が多くありました。

人前に立ったり、発表したり、質問したり、声を上げることに抵抗がないです。ほぼ抵抗がゼロです。でも、だからこその葛藤もありまして。
「自分が自分が!!!」って前に出すぎると、それが周りの可能性を奪うこと、その場の可能性をつぶすことにつながったり。

声なき声をきくこと、小さな声をきく、何を話さないか、どう伝えるか、その人の魅力やその人らしさを引き出せるあり方をしているか。全身全霊で場に臨み、そして穏やかに場に溶けていました。

私という、オオハシタクマという存在の暴力性と付き合うこと、向き合うこと、に全力で挑戦していました。

手放すこと、託すこと、信じること、願うこと、祈ること。
驕り高ぶらず、謙虚に、誠実に、素直に、ひとと、仲間と楽しむこと。

能力主義、個人主義、自己責任論、自助的な在り方をゆるやかに溶かしていきます。

「いる」を分解したり、考えたり

生きているなかでぼくらは能力、肩書き、する、やる、を強いられます。「ただ、いる」、弱さとともにあれる場所はどれだけあるのでしょう。

人間は弱い。ぼくは弱い。だからこそ、つながれる、愛し合える、手を取り合える。そんな世界が素敵だなと心から思います。ふくしデザインゼミの2か月間、すべてのものに生かし生かされ、みんなで楽しんで生きます!!

どうぞ、ふくしデザインゼミにご期待ください!!!!

最後に

このエッセイが誰かにとっての私という檻、絡まった糸からの「脱け出し」につながっていたらとっても嬉しいです。

このバトンがどうなるのか、どこまでいくのか、わからないけれど、エッセイのリレーを次のひとにまわそうと思います。君に任せた!!

ぼくにとっても、抜け出しにつながります。とっっても楽しみにしています!

|このエッセイを書いたのは|

大橋 拓真(おおはし たくま)
放送大学1年

お知らせ ~公開プレゼンを開催します!~

3月3日(日)には、正解のない世界を漂流した2ヶ月のプロセス、そしてアウトプットを共有し、みなさんとともに思考と対話を深める、公開プレゼンテーション〈「ふくしをひらく」をひらく〉を開催します!
エッセイを綴るゼミ生たちがみなさんをお待ちしています。ぜひご参加ください!

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