文章を書くということ その4

以前のnoteでも触れたように,私は文章書くのがとても苦手だ.いつまで経っても文章は完成しないし,完成した後に論旨が曲がっていたり,ダラダラ記述されているわりに主張したかったことを上手く書けていないことがある.

今回の話は前回の話の続きである.

まとまった文章,例えば論文の記述において,その文章が書かれた意図は章/節/項のタイトルという形で抽象されている.一番抽象度が高いのは論文そのもののタイトルであり,それが文章の意図をキチンと反映しているかは重要になる.タイトルを見ただけで関連の研究をしている人が「読む価値があるか」を判断できるほど正確であれば,読み手に優しいタイトルであると言える.

最近考えているのが,「具体的な文章」から「章/節/項のタイトル」への抽象化のレベルはかなりギャップがあり,この間を埋める抽象化のための言葉が必要である気がする.例えばイントロダクションが4つの段落で構成されている場合,

・1段落「研究の背景」
・2段落「背景を踏まえた上でまだ解かれていない問題」
・3段落「解かれていない課題に対する本研究のアプローチ」
・4段落「実際に研究でやったことと論文に書いていること」

みたいな構成になる(そのほかの構成もあるが...).こういった言葉は章/節/項のタイトルように文章では登場しないが,「文章」と「章/節/項のタイトル」の間の抽象化のレイヤーである.この構成が曖昧なまま書き進めてしまうと,冗長な文章を書いてしまったり,あるいは主張したことがハッキリしない文章となってしまう.

さらに,段落を構成する「抽象化のレイヤー」と「具体的な文章」の間にはまだギャップがある.一文一文に「なぜその文章を書いたのか」という理由が当然あるはずである.「構造的な文章」などと言われる文章は,具体的な文章として読んだときも,その文章を抽象化した言葉として読んだ時も,論旨や分量のバランスが整っているような気がする.

修士時代にお世話になった先輩が,文章をGoogleマップのように表示させるアイディアに関して話していた.Googleマップに自分が住んでいる街を表示すると,街や通りの名前,レストランやコンビニの位置が表示される.ズームアウトして広域を表示させると,先ほどまで表示されていた詳細な情報は削がれ,駅や学校や病院の位置などとりわけ重要であると考えられている建物の名前と位置が表示される.ここでは細い道の表示は省かれて,ある程度交通量がある道だけが表示される.さらにズームアウトして日本全体を表示させると,各都道府県の位置,山の形,主要な幹線道路が表示される.見たい領域によって情報の抽象化の度合いをインタラクティブに調整している.

一方で文章ではこの抽象化の機能がお粗末である.文章は書かれていることを読めば詳細を把握できるが,その詳細な内容を大まかにまとめたものが目次(タイトル)に書かれている.つまり,もし文章にもズームアウトの機能があれば,タイトルが表示されるようになるはずであり,そういった表示があれば文章を読む際には有用に機能するはずである.

という話を先輩はしていた.ただし文章には抽象化の段階が粗いので,その間を埋める言葉があればもう少し読みやすい.そして書く側からすると,そういった間を埋める抽象化のレイヤーを決めれば,ちょっとは文章が書く易くなるのかもしれない.

原稿が全然進まないのでダラダラとnoteを書いてしまった...そんな日もあるよね

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