ベンチュラのデザインと歴史
ハミルトンのアイコン的アイテム『ベンチュラ』。
非常に珍しいフォルムで60年以上の歴史を持つ奇妙な腕時計。
その後の腕時計の進化に決定的な影響をもたらすと同時に、つくり手であるハミルトンの声価を歴史に記した金字塔です。
今回はその魅力に迫りたいと思います。
■ベンチュラファーストモデル
ベンチュラが誕生したのは1957年。
実は、世界で初めて一般販売された「電池で駆動する腕時計」だったのです。
加えて左右非対称であるデザイン性、金無垢(ゴールド)をケースの材質として使っていた事などから、当時の金額で、およそ大卒初任給の約6倍という価格での発売となりました。
にも関わらず、ベンチュラは瞬く間に話題となり、そして絶大な支持を得る事となります。
その後ステンレスを素材としたモデルも発売されました。
それを期に、一般の人でも購入しやすくなったベンチュラは、広く世界に広まっていくのです。
■リチャード・アービブ
そのデザインは『リチャード・アービブ』が手掛けました。
アメリカの代表的な名車『キャデラック』などのデザインも手掛けたことで米国のインダストリアルデザイナーとして有名です。
当時すでに名声を得ていた有名デザイナーを起用した事も話題を呼びました。
彼の「文字盤からベルトまで、全てのパーツがコーディネートされ、時計全体で一つのデザインとして完結すべき」というデザイナーとしての信念のもと、革新的で美しいベンチュラが誕生したのです。
時計の常識を覆す左右アシンメトリーで強烈なインパクトを与えるアトミックエイジフォルム。
ベンチュラの発売以降、似たような形の腕時計もいくつか他ブランドから発表されました。
が、それらは発売から2~3年で製造終了となるものが殆どでした。
ベンチュラのデザインがオリジナルであり、その模造にはやはり、何か満たないものがあったのです。
当時では革新的だった電動式を象徴するような、原子をイメージしたインデックスやオシロスコープをモチーフとしたラインを中心に配置したダイアルデザイン。
今では『レトロフューチャー』というカテゴリーに置き換えられましたが、当時はまさに未来を象った先鋭的なデザインだったのです。
■エルヴィス・プレスリー
このデザインに魅了された者は数知れず。
一般ユーザーはもちろん、現在に至るまでに多くの著名人や芸能人が名を連ねます。
その中でも、最も有名なのが「キングオブロックンロール」と言われるエルヴィス・プレスリー。
1961年に主演を務めた『ブルーハワイ』の劇中で着用。
その後、ある宝飾店にて自身でベルトをフレックスタイプにカスタムしプライベートでも愛用していたとされています。
自由で型破りでありながらも、研ぎ澄まされたセンスは現在も霞むことはなく、現在もスタンダードコレクションの1つとしてベンチュラフレックスブレスモデルは存在しています。
エルヴィス・プレスリーの生誕80周年を記念して作られた『エルヴィス80』。
彼が愛したオリジナルのイメージを継承しつつ、新たに起こされた現代デザインでベンチュラは生まれ変わりました。
エルヴィスの名を冠したモデルが存在するほど、エルヴィスとベンチュラは切っても切れない関係である、と言えます。
■メン・イン・ブラック
数々の映画やテレビで目にする事が出来るベンチュラ。
そんなエンターテイメント界での功績も、ベンチュラを語る上ではとても重要です。
劇中使用された中で最も有名なのはハリウッド映画『メン・イン・ブラック』です。
凶悪な宇宙人達から地球を守るエージェント。
最先端の技術を駆使した彼らの装備の中に、腕時計『ベンチュラ』が際立っています。
その後のシリーズ全作品を通して、各作品の主人公を含むエージェント達の腕元を飾ったことで更に人気に拍車がかかり、ハミルトンウォッチとしてブランドのアイコンモデルとなりました。
この映画の影響もあり、「スーツにベンチュラ」といったビジネスシーンでのコーディネートもメジャーになりました。
■唯一無二の存在
数ある腕時計の中でも異彩を放つベンチュラ。
今ではアメリカを代表する科学、産業、技術、芸術、自然史の博物館『スミソニアン博物館』に、このベンチュラのオリジナルモデルは収蔵されています。
ベンチュラは、その歴史とデザインの重厚な世界観により、決して真似出来ない唯一無二の存在となりました。
60年以上もの間売れ続けている訳が、少しだけ垣間見れた気がします。
いかがでしたでしょうか。
唯一無二の腕時計『ベンチュラ』。
是非店頭で手に取ってみてください。
福岡天神の時計屋さん 福岡天賞堂
〒810-0001 福岡市中央区天神2丁目2-43 ソラリアプラザB1
☎ 092-721-8449
✉ info@core-tenshodo.com
公式サイトはこちら
ハミルトン正規販売専門オンラインショップはこちら
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?