ガラパゴスの好奇心②
こんなことがあった。
サンティアゴ島の灌木の道を歩いていたときのこと。ガラパゴスヒタキモドキがすぐ近くの木でさえずっていた。フォトグラファーの阿部さんが写真を撮ろうと、長い望遠レンズに大きな筒状のレンズフードを取り付けて、カメラを三脚に据えた。するとどうだろう。ガラパゴスヒタキモドキがわざわざ飛んできて、その大きな黒い筒の中にとまったのだ。それも一度だけではない。枝に飛び移っては繰り返し、繰り返し、レンズの中を覗き込むように筒の中に入ろうとホバリングし、実際に中に入り込んできた。おまけに、一緒にいた、一回り小さい、つがいのガラパゴスヒタキモドキもつられて飛んできて、筒の中でおしくらまんじゅうのように絡み合った。
レンズフードの中に飛び込むガラパゴスヒタキモドキ
まるで、この珍しい形の筒が、新しく巣をかけるのに適しているかどうか検分しているかのようだ。
これには一同、心底驚いた。なんでこんなに人懐っこいのだ。
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【写真撮影】阿部雄介
*地図はジオカタログ社製世界地図データRaumkarte(ラウムカルテ)を使用して編集・調製しました。
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ガラパゴス諸島を探検したダーウィンの航路を忠実にたどる旅をしたい、という私の生涯の夢がついに実現しました。実際に行ってみると、ガラパゴスは…
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