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僕、ベタ日記⑥音色の時間

モア、モア、モアくーん。モア、モア、モアくーん。
ベタだよー。モアくん。かわいいモアくーん。

可笑しなこの歌を歌っているのは、ママ!!でも、僕はこの歌、あんまり好きじゃないんだぁ。だって、僕は娘ちゃんの《ナイト》なんだから、もっと、勇敢で力強い歌が似合うと思うんだ。モア、ロックなんてどうかな?でも、きっとこの妙な歌がママの限界なんだろうなぁ。

ねえ、娘ちゃん、ママはどんな子守歌を歌っていたの?

『ところで、モア、君は魚だから声は聞こえないでしょ?』って思ったそこの君!それはちょっと違うんだよ。もちろん、魚は人間や耳付きの動物たちのように音を聞いたり、声を判断することはできない。でも、僕ら魚にも《内耳》という外からは見えない《耳》がちゃんとあるんだよ。すごいでしょ??あとは、体にある側線という場所でも音を聞くことができるんだ。この側線はとても大事な器官なんだよ。だから、僕らもちゃんと音を聞くことができるんだ。特に水の中は音の振動が伝わるのも速いんだよー。

よく、水槽の前でパチパチと手を叩く人やトントン(ドンドン)とガラスを叩く人がいるでしょう?僕がまだお店に居た頃にも、そういうことをする人達がたくさんいたのを覚えている。これはびっくりするから、苦手だった。『ちょっと止めてよー』っていつも、水槽の中から苦情を言っていたけど、聞こえてないのかな?今もお店で新しい家族を待っている仲間たちのためにも、僕からお願いがあるんだ。水槽をのぞく時は、優しさを持ってほしい。優しくされて嬉しいのは、人も魚も同じだよね。

ママは時々、ガラスに指を当てると、すーっと線を書くように、指を滑らせることがあるんだ。気づいた僕は指を追いかけて、後に続こうと泳いでいく。競争だよー。こんな楽しい遊びなら、僕らも大歓声だよ。皆も試してみてねー。

この前ね、ママはマグカップを運んでくると、水槽の前で足を止めた。そして、『モア、カフェ。オープン~♪』と言いながら、湯気の立つ何かを美味しそうに飲んでいたんだ。いいな、いいなー!僕にもそれ、ちょうだーい!『立ち飲みはお行儀が悪い』って、いつも娘ちゃんに言っているのに、ママったら…。まぁ、いいかぁ。たまにはこうして、僕がお茶の相手になってあげるからね~。

人と暮らすと、今まで知らなかった色んな音が聞こえてくる。時々、ドスンとか、ガタガタとか、大きな音がするから、『えっ?!何?』とびっくりすることもあるけど、そんな時、僕は水槽の中に居て良かったーって思うんだ。水の中は僕らにとって安心できる、どこより安全な場所だからね。

パパがレコードで、ぐれんぐうるど?って人の曲をかけてくれたんだ。皆は知ってる?『モアにも聴かせよう』と張り切っていたけど、眠たくなって、すぐにリーフに潜り込んじゃった。

僕がこの家で、好きな音はねぇー。そうだなぁ。『モア、ごはんだよー』の呼びかけはもちろん大好きだけど、一番はやっぱり、娘ちゃんがケラケラと声を立てて笑う声!その振動は心地よくて、いい気持ちなんだ。娘ちゃん、これからも、もっと、もっと、その可愛い笑い声を響かせてね。
またねー。

僕、ベタ日記もついにとなりました~。『おもしろいです』と、とっても嬉しい感想をくれた方がいました。ありがとうございます。生き物係tomo!調子に乗っています・笑。《モア・カフェ》は、なかなか居心地が良いです。いずれ、《バル・モア》に通う日も近いでしょう。

先日、娘がモアの前で《音読》をしていました・笑。もう、この光景には笑う要素しかありませんでしたが、あえてそこはスルーです。だって、何か指摘しようものなら、二度とその微笑ましい姿を見ることは出来ませんからね。経験上、分かっているので、あえて見ない振りを貫きました。時には黙って見守ることも、思春期娘に対しては有効な関わり方であると、私も日々、学習中です。モアを相手に《音読》する娘の中に、私の遺伝子を見つけた気がして、ちょっと恥ずかしかったです…。

次回も、どうぞお楽しみに。



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