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入学後、子どもが感じるギャップ。幼小の架け橋になりたい

幼児のお子さんと接していると皆、それぞれの想いで小学校への憧れを抱いています。来春に入学を迎えるお子さんが居る保護者の方なら分かっていただけると思いますが、それは当然のこと。なぜなら、我々周囲の大人達(園や迎える側の小学校の先生方やご両親、祖父母、近所の方など)は入学を控えた子ども達に対して、決まって『小学校、楽しみだねー』と声を掛けるからです。わざわざこれから入学を迎える幼い子を相手に『小学校がいかに大変か・・・』そんなことを言う大人は居ませんよね。実際、私もレッスンにおいて子ども達が小学校に対し《興味》や《関心》を引くような課題や話題を取り入れています。しかし、この我々大人が半ば抱かせてしまう《小学校への憧れ》《希望》が大き過ぎることもまた、問題です。

【あれ、何か違う・・・】ピカピカのランドセルや文房具、学習机、祖父母からお祝いをいただいたり、ご家族で入学のお祝い会をされる方もいることでしょう。幼稚園や保育園から明るく送り出された子ども達はいよいよ、待ちに待った入学を迎えます。不安は当然あるでしょうが、この時点では希望を抱いているお子さんの方が多いと思います。小学校側にとっても新一年生はニューカマーです。入学当初はゲスト扱いと言ってもいいほど、周囲は温かく迎えてくれることでしょう。しかし、やがて時間の経過と共にその《特別感》は徐々に薄れていきます。そして、ある時、子ども達は気付くのです。『あれ、思ってたのと何か違う・・・』と。小学校は義務教育のはじまりなので当然と言われればそれまでですが、これまで園や家庭で一日の大半を過ごしてきた子ども達にとっては学校に毎日通うこと、これだけでも大変です。身体が小さかったり、体力がないお子さんは通学だけでも疲れてしまうかもしれません。園の頃はバスやお家の方の送迎で通っていた子ども達の多くは、入学後は徒歩で通学します。慣れない通学路、重たいランドセルなど、それは大人が思う以上に大変なことです。また、学校へ行くと思っていたほど十分な遊び時間はありません。45分の授業、宿題の毎日です。

【疲れ切った上級生達】幼稚園や保育園に入園した際に見た大きい組さん(年長さん)の姿は入園したての子ども達にとっては《憧れ》の姿として目に映ったことでしょう。少し年が違うだけで《出来ること》や《話せること》が全く違う、そのような姿に『ぼく(私)もあんな風になりたい!』『もっと~が上手になりたい』自然と思える機会が多かったと思います。しかし、小学校ではどうでしょう。1年生と6年生では同じ子どもとは思えない程、身体付きや動作に違いがあります。これはこの時期の成長過程上のことなので当然のことですが、学校で見かける上級に対し、『すごい!』と思う気持ちよりも時には少し『怖いな』と思ってしまうこともあると思います。もちろん、凛とした上級生の挨拶や態度を見て『ぼく(私)もあんな風になりたい!』と憧れを抱くこともあるでしょう。しかし、残念なことと言うべきか・・・学校にはその生活に疲れ切った児童達の姿も沢山あるのが現実です。最近の小学生はとにかく皆、多忙です。学校の他にも習い事や塾通いをしているお子さんも多く、常に時間や課題に追われている子どもも決して少なくありません。上級生のそのような姿を目にした時、新一年生は何を思うのでしょうか。きっと、『何だかここ(学校)は思っていたより大変そうだ』『大変な所に来てしまった・・・』そう感じることでしょう。

【小学校準備、情報はほどほどに】上にお兄ちゃん、お姉ちゃんが居るお子さんの場合、『もう、知ってるよ!』と小学校のあれこれをお話してくれることがあります。とても微笑ましくも思えるのですが、よくよく聞いていると《マイナスのことばかり》が目立ちます。『先生が怖い』『怒られる』『宿題が大変』『給食が美味しくない』『意地悪な子がいる』などなど。お兄ちゃんやお姉ちゃん、近所のお友達などから聞きかじった情報なのだと思いますが、何も入学前からそんなに脅さなくても・・・と思ってしまう情報も多いです。このようなお子さんの場合は入学に対して《憧れ》や《希望》を抱いているより冷静に小学校を見ている面があります。その冷静さは大事な視点ではあるけれど、入学前から『学校は~だ』と決め付ける、『大変だから行きたくない!』と判断してしまう言動には感心出来ません。だって、実際、お子さん本人が見たり、体験したことではなく《断片的に聞きかじった情報》だけで判断し、学校を否定するとも言える態度や言動に出るのですから。偏った情報は真実でないことも多く、またそれらを幼児が判断する力はありません。なので、ご家庭でも小学校や教師に対し過剰なまでに《マイナスの印象》を与えるような情報は出さないよう気を付けて下さい。小学校入学を迎える子ども達に接する際は《持ち上げ過ぎや過度な期待を持たせ過ぎること》は避けて下さい。それと同時に《過剰に心配させることや不安を煽ること》も厳禁です。何だか、難しいですが、入学に必要な準備とそこそこの心構えがあれば大丈夫です。保護者の方はお子さんが困った時いつでも話を聞く、その気持ちを受け止め、寄り添うそんな存在で居てほしいと思います。子どもにとって家庭が安心出来る場所であることが一番です。

【慣れ親しんだ学び舎とのお別れ】保育園や幼稚園を卒園することは子ども達にとってはとても寂しいことです。多くの大人達は卒園を喜ぶと共に小学校入学という新たな門出に気持ちが向くと思います。しかし、子ども達にとって保育園や幼稚園は家庭以外で自分を温かく迎えてくれた大切な場所です。毎日通った大切な場所、優しかった先生方とのお別れはとても寂しい。お子さん達のこの気持ちを保護者の方は改めて受け止めてほしいと思います。入学が近くなると『学校、嫌!』と言ったり『幼稚園がいい!』と言ったりすることもあるかもしれません。しかし、そう思うことはある意味では自然なことです。誰だって慣れ親しんだ場所や人とのお別れは寂しいですし、新しい環境や人との出会いに不安は付きものです。そこを理解し『そうだね。幼稚園、楽しかったね』とその想いに共感してあげてほしいと思います。間違っても『いつまでそんなこと言ってるの!もう、小学生でしょ!』などとお子さんの気持ちを否定することのないようにして下さい。

私は《小1の壁》《小1プロブレム》という言葉を聞いたり、実際そのようなことを目にした際、やはり《幼小の連帯なくして問題の解決なし》だと考えます。それぞれ規模や方針など環境の異なる園で過ごした子ども達が小学校では校区で分けられ一緒に過ごすことになるのです。これまでの《常識》が《非常識》であることも少なくありません。また、実際は小学校の先生方は優しい方が多く、子ども思いの方が多いのですが、幼稚園の先生と比べてしまうと『怖い』『厳しい』と子ども達の目に映ってしまうこともまた事実です。教育面においてもその他環境面においても《幼小の連帯》は子ども達のスムーズな就学に繋がります。その架け橋となる取り組みで現在起きている子ども達の心の問題や学習の遅れ、不登校、格差問題などの改善に繋がる手掛かりがあると思います。私自身、小さな小さな一歩として、教室でのレッスン、保護者の方との相談時間がその架け橋となればと日々奮闘しています。ただ、この取り組みにはもっともっと、多くの方の理解、協力が必要です。子ども達のスムーズな就学、その後の快適な学校生活のためにも《幼小が連帯する社会》を一緒に目指しませんか。今、国でもガイドライン作成など就学前教育への取組みが始まっています。この想いにご賛同いただける方がいましたら、是非、私と共に《小さくとも、はじめられる何か》を探し《幼小の架け橋》となる取り組みをはじめていただけると嬉しいです。

それでは、次回もどうぞお楽しみに

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