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パイナップルジュースの海に沈めて、、(短編小説)

『やめて〜』

『うるせえっ俺に逆らうのか〜』

《ビターン》

『ひぃ〜、、お願い、、許して、、』

私の亭主は酔うと暴力を振るう。顔でも腹でも拳で足で全力で暴力を振るってきた。

《ドーン、バタッ、ビシャッ、パシーン》

『うぅぅッ、、あぁっ、、ゆ、、ゆる、し、、』

私は暴力を避けようと頭を抱えた時に亭主はスカをくい、もんどり打って頭から床に倒れた。

【ドン】

《ガシャーン》

・ ・ ・ ・ ・ ・

『グヒッグゴ〜グゴ〜グゴ〜グゴ〜』

倒れた亭主は大きなイビキをしたかと思うとじきに静かになっていった。

『ひぃ〜、。ハァハァハァハァハァ、、』

『あんたっ、、、あ ん た、、?』

『あんたっ!』

『あんたっ!』

静かになった亭主はそのままグッタリし、二度と動かなくなってしまっていた。

・ ・ ・ ・ ・ ・

・ ・ ・ ・ ・ ・

【ズルッ ズルッ ズルッ ズルッ ズルッ】

『ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ』

【ズルッ ズルッ ズルッ ズルッ ズルッ】

『ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ』

【バタン】【ガラッ】

『ハァ ハァ ハァ ハァ』

ズルッ ズルッ

『う〜んっ』

【ドンッ】

私は亭主を殺してしまった。

どうしようも無い奴だった、、

こんな奴の為に私の人生がめちゃくちゃになってしまうのか、、、

最初はあんなに優しかったのに、、動かなくなった亭主を見ても今は涙さえ出てこない、、

私は亭主の血で汚れた部屋を掃除し、脱がした亭主の服をゴミ袋にまとめた。

風呂で血を流し、亭主を置いて買い物に出かけた。

・ ・ ・

『ピッ  ピッ  ピッ  3800円です。』

私は何軒も何軒もお店をまわり、大量の生パイナップルジュースを購入した。

持ち帰った生パイナップルジュースを開封し、亭主の入ったお風呂へ投入する。

《ピシャ〜ピシャ〜  ピシャ〜》

《ピシャ〜ピシャ〜  ピシャ〜》

だんだん風呂の中に黄色い液体が溜まりだし、亭主の醜い身体を覆い隠していく。

《ピシャ〜ピシャ〜  ピシャ〜》

『まるで、、まるで、パイナップルジュースの海みたい、、』

そう、、肉を溶かす酵素が大量に入っているパイナップルジュース、、

私の未来、小さなパイナップルジュースの海がそこには静かに広がっていた。



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